ロシュ・ダイアグノスティックスは4月19日、女性の婦人科の受診に関する意識や実態などについて同社が実施した国際調査の結果を発表した。調査は、日本、英国、フランス、スウェーデン、オーストラリアの5カ国で実施。日本は、婦人科の受診経験者の割合が55%で、5カ国中4位だった。

16~39歳の2,500人が対象

 女性特有の疾患には症状が発現するころには重篤化しているケースや、妊娠前後のタイミングでなんらかのトラブルを抱えているケースが散見されるという。わずかな不調を見逃さないために、定期的な婦人科の受診や検診が重要となるが、日本では内診への不安や羞恥心から抵抗を感じる人が多く、婦人科の受診率は高くない。そこで、同社ではこれらの傾向が日本特有のものなのか、日本と他の先進国の実態を明らかにする目的で、婦人科受診に対する意識や条件、疾患の認知度、情報収集の手段などについて、日本を含む5カ国でオンライン調査を実施した。

 対象は日本、英国、フランス、スウェーデン、オーストラリアの16~39歳の女性で各国500人、計2,500人。調査期間は2021年12月16日~22年1月6日とした。

受診理由はピル処方が少なく、月経や健康不安が多い

 「これまでに婦人科を受診したことがあるか」という問いについて、日本では定期的に受診(19%)と必要時に受診(36%)を足した受診経験ありが55%で、フランス(76%)、スウェーデン(73%)、オーストラリア(59%)に次いで4位だった(、5位は英国の54%)。

図. 日本における婦人科受診経験の有無

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(ロシュ・ダイアグノスティックスのプレスリリースより)

 婦人科受診経験者に、「初めて婦人科を受診したのは何歳のときか」と尋ねたところ、10歳代以下が日本では40.1%と最下位だった(フランス67.6%、スウェーデン59.9%、オーストラリア44.8%、英国44.2%)。

 また、「婦人科を受診する理由・きっかけ」に関する問いについては、日本では月経トラブル(37.5%)、健康に不安を感じる(25.6%)、妊娠の可能性(21.7%)、ピル処方(14.4%)、公的機関・医療機関の案内(14.4%)などが主な理由として挙げられた。上位の項目は各国でほぼ共通していたが、ピル処方は日本が最も少なく(日本以外では20~40%)、月経トラブル(同約26~38%)および健康に不安を感じる(同20%弱~25%)については、日本が多い傾向にあった。

日本では費用が定期受診をしない主な要因に

 定期的な婦人科受診者を対象に、受診理由を質問したところ、日本では治療が必要な疾患がある(18.8%)、自分の健康が気になる(17.7%)、定期的に健康状態を知るため(16.7%)などが挙げられた。日本以外で多かった回答としては定期的に健康状態を知るために加え、かかりつけ医の勧めやネット、SNSから重要性を感じたが挙げられ、3つとも日本が少なかった。

 必要なときのみ婦人科を受診すると回答した者を対象に、定期的に受診しない理由を尋ねたところ、日本では費用がかかる(29.3%)、面倒(19.3%)、健康に不安がない・必要性を感じない(16.0%)、定期受診の必要性を感じない(16.0%)などが挙げられた。日本以外では男性医師に診察されたくないが10%超~25%弱(日本では8.3%)、希望日時に予約が取れないが10~23%前後(同6.6%)などで、日本では費用面が、日本以外では男性医師に対する抵抗感が定期的に受診しない主な理由の1つだった。

日本では症状を周囲に相談する機会が少ない

 婦人科未受診者に対し、これまで婦人科を受診したことがない理由を尋ねると、日本では費用がかかる(14.8%)、面倒(14.3%)、健康に不安がない・必要性を感じない(13.9%)、特に理由がない(37.7%)などが挙げられた。また、日本以外で割合が高かった理由として下半身の診察に抵抗があるが10%弱~30%弱(日本では8.1%)、診療内容が分からなくて不安が約6%~約25%(同5.4%)、案内が来ていないが約12%~30%(同5.4%)などであった。  

 「今後どのような状況であれば受診するか」という問いについては、5カ国とも明確な体調不安を感じる(日本28.7%)、月経の悩みが生じる(同22.0%)、結婚や妊娠などライフステージの変化(同15.7%)、妊娠の準備を始める(同14.8%)などの回答が多かったが、いずれも日本が最も少なかった。日本では当てはまるものがない(37.2%)が日本以外(10~20%弱)と比べ突出していた。  

 症状に関する情報源として、日本ではネットニュース・記事(32.8%)やSNS(23.9%)、テレビ(15.6%)などを含むメディアを挙げる回答が多かった。また、医師(28.8%)や家族(18.7%)、友人・知人(18.7%)を情報源とする割合は他の情報源と比べると比較的多かったが、いずれも5カ国中最下位であった。  

 今回の結果を踏まえ、同社は「日本では他国と比べ婦人科の受診に対して受け身の姿勢が見られ、受診のきっかけの明確なイメージを持っていない可能性がある。このことから、受診の必要性を明確にイメージできる情報提供や、婦人科を身近に感じられる環境づくりが、受診率向上に寄与すると考えられる」と述べている。

(編集部)