アシミニブ(商品名セムブリックス)は慢性骨髄性白血病(CML)に対する新規作用機序を有するファースト・イン・クラスの抗悪性腫瘍薬であり、今年(2022年)3月に既存治療に抵抗性のCMLに対し承認された。国立がん研究センター東病院血液腫瘍科科長の南陽介氏は、4月19日に実施されたノバルティスファーマ主催のメディアセミナーで登壇。作用機序や有害事象を解説した。

BCR-ABL TKI抵抗性、不耐容の患者の治療が課題

 CMLに対しては化学療法や造血器細胞移植、インターフェロンαによる治療が行われてきたが、2001年にフィラデルフィア染色体の遺伝子産物BCR-ABLを標的とした分子標的薬であるイマチニブが登場したことで、治療成績が大幅に上昇した。

 イマチニブはBCR-ABLのチロシンキナーゼのATP結合部位に競合的に結合してシグナル伝達を阻害し、細胞増殖の抑制およびアポトーシスの誘導によりCML細胞を選択的に傷害するBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)で、第三世代も含めて現在5製剤が承認されている。

 BCR-ABL TKIの登場によりCML患者の予後は大幅に改善した。一方で、治療抵抗性または有害事象などにより不耐容の患者をどのように治療するかという課題は残る。

BCR-ABL選択性が高く、副作用の抑制が期待

 アシミニブはATP結合部位ではなく、ABLのミリストイルポケットに特異的に結合することでBCR-ABLの活性化を阻害するspecifically targeting the ABL myristoyl pocket(STAMP)阻害薬である()。南氏は「ATP結合型のBCR-ABL TKIに抵抗性の症例にも効果が期待でき、また、ミリストイルポケットはBCR-ABLに特異的なため選択性が高く、副作用の抑制も期待できる」と解説した。

図. アシミニブの作用機序

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(メディアセミナー資料を基に編集部作成)

 ATP結合型のBCR-ABL1 TKIに抵抗性または不耐容のCML患者を対象とした第Ⅲ相ランダム化比較試験ASCEMBLでは、主要評価項目である24週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)率は、対照とした第二世代BCR-ABL1 TKIボスチニブを投与したボスチニブ群の13.2%に対し、アシミニブ群では25.5%と有意に良好だったことが示され(関連記事「First-in-Classの白血病治療薬が有効性示す」)、米国では昨年10月、日本でも今年3月に承認された。

 アシミニブで効果が良好である理由の1つとして、南氏は有害事象の少なさを挙げ、「特に投与中止に至った有害事象は、ボスチニブ群の25.0%に対しアシミニブ群では7.1%と3分の1以下。薬剤そのものの効果に加え、有害事象を避けながらQOLを維持して薬剤投与を継続することが重要」と述べた。臨床試験に参加した患者からは「これまでの薬剤よりも身体が楽」という感想が多く寄せられたという。

 なお、同氏はアシミニブの第Ⅰ相試験の結果が初めて報告された2015年の米国血液学会(ASH 2015)でセッションの座長を務めていたそうだが、「質問の列が途切れず、イマチニブ以来のインパクトであることを実感した」と述懐。今年6月に開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)では4年間の長期成績の報告が予定されている。

(安部重範)