心不全は左室駆出率(LVEF)に基づき、LVEFが低下した心不全(HFrEF)、LVEFが保たれた心不全(HFpEF)、LVEFが軽度低下した心不全(HFmrEF)に大きく分類され、これら分類別の予後についてはさまざまな見解がある。中国・Guangdong Academy of Medical SciencesのShiqun Chen氏は、心不全で入院した患者をHFrEF、HFpEF、HFmrEFに分類し、5年全死亡率を検証。結果をESC Heart Fail2022年4月18日オンライン版)に発表した。

4,880例を5年間追跡

 今回の解析対象は、単施設後ろ向き観察研究Cardiorenal ImprovemeNt registryに2007~2014年に登録された患者のうち、心不全で入院した4,880例。18歳未満、がん合併例、ベースライン時のLVEFが不明、追跡不能例は除外した。 LVEFに基づき、40%以下をHFrEF群(1,097例)、41~49%をHFmrEF群(1,015例)、HFpEF群(2,768例)に分類。2019年12月まで追跡し、主要評価項目として5年全死亡率を評価した。

 3群の主な患者背景は、平均年齢がHFpEF群61.3歳、HFmrEF群62.4歳、HFrEF群62.5歳、男性がそれぞれ55%、74%、78%、既往歴および併存疾患は高血圧が37%、49%、39%、糖尿病が17%、26%、28%、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が0.5%、1.4%、1.0%、慢性腎臓病(CKD)が27%、32%、36%、急性心筋梗塞が20%、35%、17%、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類クラスⅢが21%、20%、25%、Ⅳが2.9%、5.4%、4.9%などであった。

全体の17%が死亡

 解析の結果、全体の17%に当たる832例が死亡し、各群の5年全死亡率はHFrEF群25.2%、HFmrEF群18.1%、HFpEF群13.4%だった。 性や年齢、既往歴・合併症、治療薬などを調整しハザード比(aHR)を算出すると、HFpEF群に対しHFmrEF群では死亡リスクが40%高かった(aHR 1.40、95%CI 1.08~1.81、P=0.01)。同様に、HFrEF群では死亡リスクが85%高く(同1.85、1.45~2.35、P<0.001)、また、HFmrEF群に対しHFrEF群では死亡リスクが32%高かった(同1.32、1.02~1.71、P=0.034)。

 男女別にサブグループ解析を行った結果、男女とも主解析と同様の傾向が認められた。ただし、男性ではHFmrEF群とHFpEF群の比較で有意差が認められなかったのに対し(aHR 1.29、95%CI 0.94~1.76、P=0.112)、女性ではHFrEF群とHFmrEF群に有意差はなかったものの(同1.33、0.81~2.19、P=0.267)、HFpEF群に対しHFrEF群では死亡リスクが有意に上昇していた(同2.17、1.40~3.36、P=0.001)。

 以上の結果を踏まえ、Chen氏は「HEpEFと比べ、HErEFでは5年全死亡リスクが2倍近く高く、LVEFが低下するにつれ死亡リスクが高まる可能性が示唆された。LVEFに基づく死亡リスクを低減させる治療戦略構築の重要なステップと成りうる」と述べている。

(編集部)