身長が高い人ほど虚血性脳卒中リスクが低いことが報告されているが、脳卒中のサブタイプ別のリスクと身長との関連についてはほとんど分かっていない。英・University of OxfordのAndrew B. Linden氏らは、複数の民族のゲノムワイド関連研究(GWAS)データを解析。高身長とサブタイプごとの脳卒中リスクを検討し、結果をPLoS Med2022; 19: e1003967)に報告した。

7万例超をメンデルランダム化解析

 高身長の人ではアテローム動脈硬化症、虚血性脳卒中、心疾患のリスクが低い一方、心房細動(AF)や静脈血栓塞栓症のリスクが高いことが報告されている。しかし、脳卒中のサブタイプ別リスクとの関連についての検討はほとんどない、とLinden氏ら。

 そこで同氏らは、脳卒中およびサブタイプに関する29件の脳卒中ゲノム解析MEGASTROKEコンソーシアム(虚血性脳卒中6万341例)に加え、英国系白人集団を含むUK Biobank(UKB、同4,055例)および中国人集団を含むChina Kadoorie Biobank(CKB、同1万297例)のデータを用いメンデルランダム化(MR)解析を実施した。

 平均身長はUKBに比べ、CKBでは男性が10cm、女性が8cm低く、直接測定による1標準偏差(SD)はUKBでは男性6.8cm、女性6.3cm、CKBではそれぞれ6.5cm、6.0cmだった。

高身長と脳卒中リスク低下が関連も、サブタイプではリスク上昇も

 MR解析により、身長と虚血性脳卒中との関連を検討した。その結果、MEGASTROKEでは身長の1SD増加と脳卒中リスクの有意な低下に関連が示された〔オッズ比(OR)0.96、95%CI 0.94〜0.99、P=0.007〕。MEGASTROKEにおける欧州人集団3万4,217例に限定しても同様の結果が得られた(同0.96、0.93〜0.99、P=0.02)。さらに、UKB(同0.98、0.91〜1.06、P=0.66)では有意差はないものの同様の傾向が見られ、CKB(同0.94、0.88〜1.00、P=0.05)では有意なリスク低下が認められた。

 しかし、脳卒中のサブタイプ別の検討を行ったところ、MEGASTOREにおいては身長の1SD増加と心原性脳塞栓症発症リスクとの関連が示された(OR 1.13、95%CI 1.07〜1.19、P<0.001)。一方、大動脈脳卒中(OR 0.89、95%CI 0.84〜0.95、P<0.001)、小血管脳卒中では有意なリスク低下が確認された(同0.87、0.83〜0.92、P<0.001)。なお、UKBおよびCKBでも同様の傾向が見られたが、有意差は示されなかった。これらに加え、UKBにおいてのみAFリスクの上昇や、UKBおよびCKBでLDLコレステロールの低下などとの関連も示された。

 以上から、Linden氏らは「今回の解析により、高身長と心原性脳塞栓症リスクの上昇およびその他の脳卒中サブタイプにおけるリスクの低下との関連が示唆された」と結論。「今後は、両者の根本にある生物学的および物理学的な関連について検討する必要がある」と付言している。

松浦庸夫