【北京時事】中国の習近平政権が秋の共産党大会を前に、国内の「安定」演出に力を入れている。新型コロナウイルス感染拡大で経済や市民生活への影響が長期化する中、感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を堅持。習近平国家主席(党総書記)が主導してきた同政策を正当化する一方で、異論を徹底的に抑え込む構えだ。
 中国最大の経済都市、上海はロックダウン(都市封鎖)が導入され、物資不足が続く。4月中旬、不満を抱いた市民が市トップに詰め寄る動画が投稿されたが、すぐに削除された。同じ頃、ゼロコロナ政策の限界を指摘した識者の意見も封殺された。
 4月下旬から市中感染が広がった北京では、「北京もロックダウンされる」とSNS上で拡散した2人が「公共の秩序を乱した」などとして拘束された。当局は、市民の間で動揺が広がり、政権批判につながることを警戒しているとみられる。
 世界で初めて湖北省武漢市でコロナ感染が広がった後、習政権は厳重な検査とロックダウンを軸とするゼロコロナ政策を進め、「世界に先駆けて感染を抑えた」と主張してきた。しかし、感染力が強い変異株「オミクロン株」に関しては、効果的に対応できているとは言い難い。
 それでも、習氏は4月中旬、南部・海南島を視察した際、同政策の徹底を改めて指示した。党機関紙・人民日報は「揺るぎなく方針を堅持する」といった記事を連日のように掲載し、国家衛生当局も記者会見で「道は正しく、効果も良い。万能の宝だ」と持ち上げる。
 党大会で3期目入りが見込まれる習氏にとって、政策の失敗を認めたり、国内が混乱したりすることは容認できない。人民日報系の環球時報前編集長、胡錫進氏は、北京で感染が広がり始めた4月下旬、「北京もロックダウンとなれば、影響は上海より大きく、政治的になる」と指摘。習政権は威信を懸けて、ゼロコロナ政策を維持したまま感染の抑え込みを図ろうとしている。 (C)時事通信社