政府は大型連休明けから、これまでの新型コロナウイルス対応の検証を本格化させる。近く有識者会議の初会合を開催。6月にも結果を取りまとめる方針だ。ただ、岸田文雄首相の掲げる司令塔組織の新設は困難との見方が強まっている。
 政府は4月末、有識者会議のメンバーとして医学者や社会学者、財界人ら計8人を発表。首相は検証結果を踏まえ、司令塔機能や医療提供体制などの強化を図る考えを示しており、3月のまん延防止等重点措置の全面解除後、具体的な人選を進めてきた。
 主な検討課題として挙がるのは、政府・自治体と医療機関の連携の在り方だ。日本は先進各国の中でも病床数や病院数が高い水準にありながら、コロナ禍で各地の医療提供体制が逼迫(ひっぱく)した。
 背景には、小規模の民間病院が国内に多い事情などがある。受け入れ可能と申告しながら、実際は患者を拒む「幽霊病床」も問題視された。
 政府内では感染拡大時、地域ごとに医療機関の役割分担を明確にするよう求める意見が根強い。医療機関に対する政府・自治体の権限強化などに向け、「感染症法、医療法の改正が必要」(厚生労働省幹部)との指摘もある。
 行動制限の在り方にも議論が及ぶ見通しだ。コロナ禍では一時、ロックダウン(都市封鎖)のような強い行動制限の必要性も指摘されたが、軽症者の多いオミクロン株が主流となってからは、経済活動の再開に軸足が移りつつある。
 一方、首相は昨年の自民党総裁選で、感染症対策の司令塔として「健康危機管理庁」の創設を公約に掲げたが、その後はトーンダウン。政府内では「新たな組織の人員をどこから割くのか」(政府関係者)などと否定的な見方が多い。
 ただ、政府のコロナ対策は内閣官房と厚労省に分散。ワクチン接種の担当閣僚も設置されている。このため、与党内からは「役割の整理が必要だ」(自民党中堅)との意見も出ており、論点となりそうだ。
 ◇「第7波」を懸念
 3年ぶりに行動制限のない大型連休に入り、政府は今後の感染「第7波」に警戒を強めている。観光地などでは人出が増え、内閣官房幹部は「連休後が本当に正念場だ。状況だけを見れば感染爆発する条件が出そろっている」と懸念。全国の駅や空港に臨時の無料検査拠点を設置し、検査を呼び掛けるとともに、マスク着用や換気など基本的な感染対策の継続を重ねて求める。 (C)時事通信社