仕事や家庭にまつわる悩みを聞く、自治体の男性向け相談窓口の受付件数がじわりと増えている。家庭内暴力(DV)や家族の関係悪化といった相談の背景には、新型コロナウイルス感染拡大による生活環境の変化が影響しているとみられ、専門家は「ストレスをためず、思い切って吐き出してほしい」と呼び掛けている。
 「仕事がつらい」「妻を殴ってしまった」。こうしたSOSが相次ぐのは、東京都が運営する「東京ウィメンズプラザ」(渋谷区)の男性向け電話窓口。2020年度に年間500件台だった相談件数は21年度に700件台に達し、今年4月からは週3日だった開設日を週4日に増やした。
 同プラザによると、40~50代からの相談が多く、DV加害だけでなく、妻からのDV被害を訴える事例も増加。担当者は「コロナ禍でテレワークになり、家にいる時間が増えたことがストレスの一因になっているのでは」と指摘する。
 一般社団法人「日本男性相談フォーラム」理事を務め、90年代からこの問題に携わってきた京都橘大学の浜田智崇准教授は、国の窓口「DV相談プラス」に届いた男性の相談内容を分析。コロナの影響で収入が減ったことで、家族に責められて心を病んでしまったり、「思い通りにいかない」とストレスが爆発して暴力を振るってしまったりするケースが多く見られたという。
 浜田氏は「社会全体に『男は稼いで家族を食べさせないといけない』といった意識が根強く残っている。人に弱みを見せることにも高いハードルがある」と話す。
 内閣府男女共同参画局によると、都道府県など自治体が設ける男性相談窓口は、13年の43カ所から22年3月には80カ所まで増えた。ただ、社会人が相談しやすい平日夜に開いている窓口が少ないなど課題もあり、浜田氏は「国を挙げた支援が必要だ」と強調した。 (C)時事通信社