50歳以上の中高年男性において中等度~高度の下部尿路症状(LUTS)が死亡リスク上昇と関連することが分かった。フィンランド・Tampere UniversityのJonne Åkerla氏らが、同国の男性3,000人以上を24年間追跡してLUTSを分析した結果をJ Urol2022年4月26日オンライン版)に発表した。

困窮度は重要な考慮事項

 1994年にフィンランドの住民登録Finnish Population Registerから1924年、1934年、1944年に出生した50、60、70歳の男性3,143人を抽出。Danish Prostatic Symptom Scoreを含む質問票を郵送し、1999年、2004年、2009年、2015年にも同様の調査を行った。2018年まで追跡し、5年ごとに最新のデータを用い、時間依存Cox回帰モデルで年齢と併存症を調整し、LUTSに関連する死亡リスクを解析。LUTSの症状と困窮度の相互作用の可能性についても検討した。困窮度は泌尿器科医にとって重要な考慮事項であり、「症状があまり煩わしくない」という患者は症状にうまく対処していると見なされるため、治療は必要でない。

 24年間の追跡期間中に解析対象とした男性1,167人中591人(50.6%)が死亡した。

排尿症状は19%、蓄尿症状は35%死亡リスク上昇

 解析の結果、LUTSの症状と長期死亡リスクに幾つかの有意な関連が認められた。

 困窮度の影響を考慮せずに多変量解析で年齢、併存症などについて調整すると、中等度~重度の排尿症状(排尿遅延、尿勢低下、腹圧排尿)は死亡リスクを19%〔調整後ハザード比(aHR)1.19、95%CI 1.00~1.40〕、蓄尿症状(昼間頻尿、夜間頻尿、種々の尿失禁)は死亡リスクを35%(同1.35、1.13~1.62)上昇させた。

 軽度LUTSを含めた解析では、死亡リスクの上昇は認められなかった。Åkerla氏らは「この解析結果から、一般に中等度~重度LUTSを有する男性では健康状態の低下が示唆されるのに対し、軽度LUTSは健康的な加齢における正常な症状と考えられる」と指摘した。

昼間/夜間頻尿、切迫性尿失禁が死亡リスク上昇に関連

 ただし、幾つかの例外が認められた。症状の重症度と困窮度の影響を考慮せずに多変量解析で年齢、併存症などについて調整すると、昼間頻尿(aHR 1.31、95%CI 1.09~1.58)と夜間頻尿(同1.52、1.21~1.91)が死亡リスクの上昇と関連していた。同氏らは「この結果から、昼間の3時間未満の間隔でおきる昼間頻尿と夜間頻尿は、特に持続的である場合、患者にとって重要な症状であることが示唆された」と説明した。

 さらに、困窮度の影響を考慮せずに多変量解析を行うと、切迫性尿失禁では死亡リスクが2倍に上昇した(aHR 2.19、95%CI 1.42~3.37)。この結果について同氏らは「切迫性尿失禁が中高年男性の健康と機能状態に重大な影響を及ぼしていることを示す。おそらく長期の神経疾患および血管疾患の影響を反映していると考えられる」と考察した。

困窮度は死亡と関連しない

 煩わしさがない場合に比べた煩わしさがある場合の死亡リスクは昼間頻尿〔aHR 1.18(95%CI 0.97~1.44)vs.1.86 (1.41~2.47)〕、夜間頻尿〔同1.46(1.16~1.85)vs. 1.88(1.38~2.58)〕とも有意差はなかった(症状の重症度と困窮度の相互作用のPはそれぞれ0.165、0.515)。

 以上から、Åkerla氏らは「中等度~重度のLUTSは、困窮度と独立して中高年男性の死亡リスクの上昇と関連していた。中等度~重度のLUTSは、中高年男性における健康不良状態の予測因子、死亡の危険因子であるが、LUTSの困窮度は死亡関連因子ではなかった」と結論。「症状の困窮度と死亡リスクに関連性が認められなかったのは、より客観的に測定された症状の重症度と比べて困窮度の主観的な要素が影響したものと考えられる。この結果から、治療の判断をする際に困窮度を考慮すべきかどうかが問題となる」と述べている。

(大江 円)