不健康な食習慣は糖尿病リスクを30%上昇させることが分かった。米・Massachusetts General HospitalのJordi Merino氏らは、同国の3万5,000人以上を対象に遺伝的リスクおよび食習慣の質と2型糖尿病リスクとの関連を検討した結果をPLoS Med2022; 19: e1003972)に発表。「遺伝的リスクと食習慣の質はいずれも独立して2型糖尿病リスクと関連しており、健康的な食習慣はあらゆる遺伝的リスクを上回り糖尿病リスクの低下と関連することが示された」と報告した。

コホート研究3件のデータを解析

 遺伝的因子と生活習慣はともに2型糖尿病リスクと関連しており、健康な生活習慣は2型糖尿病リスクを低下させることが示されているが、生活習慣と一部相互作用を示す遺伝的因子の相乗効果については明らかでなかった。そこでMerino氏らは今回、米国の大規模コホート研究に参加した3万5,759人のデータを分析し、遺伝的リスクおよび食習慣の質と2型糖尿病との関連を検討した。

 対象、コホート研究3件〔Nurses' Health Study(NHSⅠ:1986~2016年)、Health Professionals Follow-up Study(HPFS:1986~ 2016年)、NHS Ⅱ(1991 ~2017年)〕の参加者のうち利用可能な遺伝子情報があり、ベースライン時に糖尿病、心血管疾患、がんに罹患していない3万5,759人(それぞれ1万4,454人、9,417人、1万1,888人)。

 遺伝的リスクは全体的な遺伝的リスクを示すグローバル多遺伝子スコアと、病態生理学的メカニズムを示す経路特異的多遺伝子スコアを用いて評価した。食習慣の質はAlternate Healthy Eating Index(AHEI)を用いて評価した。

 ベースライン時の平均年齢はNHS Ⅰが53歳、HPFSが54歳、NHS Ⅱが37歳で、BMIは24.3~25.5、平均AHEIスコアは48.9~52.6点だった。

遺伝的リスクにかかわらず糖尿病リスク上昇

 90万2,386人・年の追跡期間中に4,433例〔NHSⅠ2,204例(15.2%) 、HPFS 1,285例(13.6%)、 NHS Ⅱ 944例(7.9%)〕が2型糖尿病を発症した。

 Cox比例ハザードモデルで交絡因子を調整した解析の結果、グローバル多遺伝子スコアが1標準偏差上昇するごとに糖尿病リスクは29%有意に上昇し(調整ハザード比(aHR)1.29、95%CI 1.25~1.33、P<0.001)、AHEIスコアが10ユニット減少するごとに糖尿病リスクは13%有意に上昇した(同1.13、1.09~1.17、P<0.001)。

 糖尿病リスクにおける食習慣の質と遺伝的リスクに有意な交互作用は認められなかった(交互作用のP=0.69)。しかし遺伝的リスクの程度にかかわらず健康的な食習慣に対し不健康な食習慣では2型糖尿病リスクが約30%有意に上昇した。遺伝的リスクの上昇と食事の質の低下に関連する2型糖尿病リスクは、それぞれの因子と関連するリスクの和と同等だった(交互作用のP=0.30)。

 以上から、Merino氏は「2型糖尿病リスクにおいて遺伝的リスクと食習慣の質は独立した関連因子であり、遺伝的リスクの強さにかかわらず健康的な食習慣は2型糖尿病リスクを低下させることが示唆された」と結論している。

(大江 円)