【北京時事】中国・杭州で9月に開催予定だった夏季アジア大会が、新型コロナウイルスの影響で延期となった。中国の習近平指導部は厳格な「ゼロコロナ」政策に固執しているが、オミクロン株の流行で、海外からの人の流入に不安を感じた可能性がある。秋の共産党大会を前に、北京冬季五輪開催の実績に傷を付けないことを優先したもようだ。
 「新型コロナの流行発生以来、初めて予定通りに行われる世界的なスポーツ大会だ」。習近平国家主席(党総書記)は1月末、延期せずに五輪を開催できることを強調した。大会では外部との接触を断つ「バブル」方式を採用し、感染を一定程度に抑えた。4月に行われた五輪関係者の表彰式で習氏は、外国人選手の言葉を借り「コロナ対策に金メダルがあれば中国が1枚獲得するはずだ」と誇った。
 だが、杭州アジア大会が同じ方式で成功するとは限らない。国内では3月以降、市中感染が拡大し、最大都市の上海ではロックダウン(都市封鎖)が1カ月以上続く。4月の累計感染者は55万人に達し、感染力の強いオミクロン株の抑え込みに苦戦しているのが現状だ。人の流入で感染爆発が起きれば、党大会で3期目入りを控えた習氏に傷が付きかねず、リスクを回避した形だ。
 一方、杭州市を省都とする浙江省は習氏がかつてトップを務めた思い出の地。今でも当時の部下を側近として重用し、「之江新軍」と呼ばれる浙江閥を形成している。アジア大会の会場は、杭州だけでなく温州や紹興など部下の出身地にまたがっており、党内基盤を強固にしたい習氏にとって、延期は痛手となる。 (C)時事通信社