SNSを毎日利用している人が1週間利用を控えると、メンタルヘルスが改善することが分かった。英・University of BathのJeffrey Lambert氏らはSNSを毎日利用している人を対象に、SNSを休むことがメンタルヘルスに及ぼす影響を検討するランダム化比較試験(RCT)を行った結果を、Cyberpsychol Behav Soc Netw2022年5月6日オンライン版)に発表した。

SNSの週平均利用時間は8時間超

 英国の成人におけるSNSの利用率は、2011年の45%から2021年には71%へと大幅に上昇し、16~44歳の97%が利用している。SNSには手軽に利用できる半面、長時間利用や人間関係のトラブルにつながることもあり、メンタルヘルスに対する影響が懸念されている。そこでLambert氏らはSNSを毎日利用している成人を対象に、SNSを休むことがメンタルヘルスに与える影響をRCTで検討した。

 対象はInstagram、Facebook、Twitterなどで募集した毎日SNSを利用している18歳以上の者154人。2020年11月~21年3月にSNS(Instagram、Facebook、Twitter、TikTok)の利用を1週間休む群(介入群)81人と通常通り利用する群(対照群)73人に1:1でランダムに割り付けた。メンタルヘルスは、ベースライン時と1週間後にWarwick-Edinburgh Mental Wellbeing Scale(WEMWBS)を用いて精神的健康(wellbeing)を、Patient Health Questionnaire(PHQ)-8(0~24点)を用いてうつ症状を、General Anxiety Disorder Scale(GAD)-7(0~21点)を用いて不安症状を評価し、ベースラインからの変化量を検討した。

 対象の平均年齢は28.9歳。白人が64%。社会人が39%、学生が49%。PHQ-8で10点以上のうつ病に分類されたのは30%で、SNSの週平均利用時間は8時間超(介入群約8.5時間、対照群約8.1時間)だった。

精神的健康、うつ、不安が有意に改善

 ベースラインと1週間後のスコアを比較すると、WEMWBSの平均点は介入群46.00点→55.93点、対照群43.92点→45.05点、PHQ-8の平均点は7.46点→4.84点、7.84点→6.95点、、GAD-7の平均点は5.95点→3.88点と6.92点→5.94点だった。

 ベースライン時の得点、年齢、性を調整した1週間後の平均群間差は、WEMWBSが4.90点(95%CI 2.97~ 6.83点、P<0.001)、PHQ-8が-2.17点(同-3.28~-1.06点、P<0.001)、GAD-7が-1.68点(同-2.79~-0.57点、P<0.01)と、対照群に対し介入群で精神的健康の有意な向上、うつ症状および不安症状の有意な減少が認められた。

利用時間の減少に有意な間接効果

 SNSの週平均利用時間を見ると、ベースライン時は介入群が509.6分(約8.5時間)、対照群が484.5分(約8.1時間)で両群に有意差はなかったが、1週間後はそれぞれ20.7分、445.5分(約7.4時間)と、介入群では全てのSNSで利用時間の大幅な減少が認められた。

 SNSの利用を1週間休む(介入)または休まない(対照)という条件を独立変数、各SNSの利用時間を媒介変数、介入後のメンタルヘルスをアウトカムとすると、精神的健康に対してSNS全体の週平均利用時間の変化が有意な正の間接効果を示した(B=1.3、95% CI 0.1~2.5)。すなわち、精神的健康の改善はSNS全体の週平均利用時間の減少に一部媒介されることが示唆された。

 うつ症状に対しては、Twitter(B =-0.33、95%CI -0.66 ~-0.08)とTikTok(同-0.43、-0.91~-0.07)の週平均利用時間の減少が有意な負の間接効果を示した。すなわち、うつ症状の減少はTwitterとTikTokの週平均利用時間の減少に一部媒介されることが示唆された。

 不安に対しては、TikTokの週平均利用時間の減少が有意な負の間接効果を示した(B =-0.43、95%CI - 0.91 ~-0.07)。すなわち、不安の減少はTikTokの週平均利用時間の減少に一部媒介されることが示唆された。

 以上から、Lambert氏らは「SNSを毎日利用している人が1週間利用を控えると、精神的健康、うつ、不安の有意な改善が認められた」と結論。「週に何時間もSNSを利用していて、メンタルヘルスに悪い影響が出ていると感じている人は、利用を控えることを考慮してもよいのではないか」と付言している。

(大江 円)