米・University of WashingtonのAbraham D. Flaxman氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の濃厚接触者である同居家族への抗体カクテル療法薬カシリビマブ/イムデビマブ(商品名ロナプリーブ)の曝露後予防(postexposure prophylaxis;PEP)投与による効果を検討、結果をJAMA Netw Open2022; 5: e228632)に発表した。昨年(2021年)5月当時の流行状況で、COVID-19患者と同居する50歳以上の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン未接種の家族にPEP投与を行った場合、家庭内二次感染率(secondary attack rate)の高低に関係なくCOVID-19発症、入院、死亡が抑制され、高感染率シナリオでは入院費用が削減できると推定された。

50歳以上の半数への予防投与で入院と死亡を抑制

 Flaxman氏らは、カシリビマブ/イムデビマブ皮下注射薬のランダム化比較試験のデータや、2021年5月の米疾病対策センター(CDC)によるCOVID-19確定診断例のデータなどに基づく意思決定分析モデルを構築。COVID-19確定診断例と同居するSARS-CoV-2ワクチン未接種の家族に対するカシリビマブ/イムデビマブPEP投与の効果を推定した。主要評価項目はCOVID-19発症、入院、死亡、PEP投与の純費用とした。

 健康アウトカムの解析では、2021年5月と同等の流行状況で50歳以上の家族の50%にカシリビマブ/イムデビマブPEP投与を行った場合、家庭内二次感染率の低感染率(7.8%)シナリオではCOVID-19発症1,820例〔95%不確実性区間(UI)1,220~2,454例〕、入院528例(同354~724例)、死亡84例(同55~116例)が回避され、高感染率(21.1%)シナリオではCOVID-19発症4,834例(同3,375~6,257例)、入院1,404例(同974~1,827例)、死亡223例(同152~299例)が回避されると推定された。

低感染率での医療費削減効果は80歳以上のみ

 費用の解析では、カシリビマブ/イムデビマブPEP投与を行わなかった場合の家庭内二次感染によるCOVID-19関連入院費用は、低感染率シナリオで1億4,900万ドル(95%UI 1億1,500万~1億9,600万ドル)、高感染率シナリオで4億ドル(同3億1,200万~5億800万ドル)と推定された。

 また、年齢別にカシリビマブ/イムデビマブPEP投与費用および入院費用を解析した。

 その結果、低感染率シナリオにおいてPEP投与率を50%とした場合に費用が削減できる確率は、80歳以上では82%と推定されたが、50歳以上および20歳以上では費用削減が認められなかった。

 高感染率シナリオでは、PEP投与率を50%とした場合の費用削減の確率は80歳以上で100%、50歳以上で96%、20歳以上で2%と推定された。

 以上を踏まえ、Flaxman氏らは「COVID-19患者の同居家族に対するカシリビマブ/イムデビマブPEP投与は、COVID-19発症、入院、死亡を抑制し、家庭内二次感染率が高い場合には医療費の削減も可能であると推定された」と結論している。

(太田敦子)