妊婦における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの接種状況と安全性について、日本人を対象とした大規模研究の結果が示された。日本大学病態病理学系微生物学分野准教授の相澤(小峯)志保子氏らは、昨年(2021年)10月時点でワクチンの2回接種を完了した妊婦は73.6%で、接種後の重篤な産科・婦人科症状は1%未満だったとJ Obstet Gynaecol Res2022年5月10日オンライン版)に報告した。

日本産科婦人科学会監修アプリを使用

 妊婦のSARS-CoV-2ワクチン接種については、既報のエビデンスを踏まえ世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)が推奨しており、日本でも今年2月21日に努力義務の適用除外が解除されるなど、積極的な接種が進められている。ただし、ワクチンに使用されているメッセンジャーRNA(mRNA)は新しい技術であることから、安全性に懸念を示す妊婦も少なくない。

 相澤氏らは日本産科婦人科学会が監修した妊婦向けアプリ「Babyプラス」を用い、2021年10月5日〜11月22日にオンラインでの全国調査を実施。対象は16歳以上で既婚または20歳以上の妊婦で、年齢、妊娠期間、分娩歴、単胎/多胎、妊娠法、妊娠合併症、就労状況に加え、SARS-CoV-2ワクチンの接種歴、回数、種類、産科・婦人科症状を含む接種後の副反応を尋ねた。

重篤な症状はほぼ認められず

 研究の参加者は6,576人で、内訳はワクチンの2回接種者が4,840人(73.6%)、1回接種者が557人(8.5%)、非接種者が1,179人(17.9%)だった。

 ワクチン接種後に最も多く認められた副反応は、接種部位の疼痛だった(1回目接種後96.84%、2回目接種後92.61%)。接種部位の腫脹は1、2回目接種後でほぼ同等だったが、発熱、疲労・倦怠感、頭痛、関節痛などは1回目に比べ2回目接種後でより多く認められた。これらの副反応は、過去に報告された同年齢の非妊婦における発生率と同程度だった。

 産科・婦人科症状については、子宮の緊張・収縮(1回目接種後1.65%、2回目接種後2.98%)、子宮痛(2回目接種後1.06%)が報告されたが、出血、胎動の低下、浮腫、血圧上昇、破水といった重篤な症状は、1、2回目接種後ともに1%未満だった。

 以上の結果を踏まえ、相澤氏は「現在、日本では3回目接種(ブースター接種)が行われていることから、パンデミック期における妊婦の感染症マネジメントを改善するためにもさらなる研究が必要である」としている。

(平山茂樹)