新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、屋外でもマスク着用を原則として求める政府の対応を見直すべきだとの声が国内で強まってきた。海外で「脱マスク」の動きが広がっているためだ。ただ、岸田文雄首相はマスク着用を「感染の基本的予防策」と重視しており、直ちに見直すことには否定的だ。
 「今の段階でマスク着用を緩和することは現実的ではない」。首相は12日の参院厚生労働委員会でこう表明。立憲民主党の川田龍平氏の質問に答えたもので、「マスク着用は極めて重要だ」とも強調した。
 屋外でのマスク不要論に火を付けたのは東京都医師会の尾崎治夫会長だ。10日の記者会見で「換気がいい場所はそれほど感染リスクがない。屋外では着用を見直してもいい」と主張。同席した他の医療関係者からも「子どもは熱中症対策のためマスクを外してもいいようにすべきだ」などの意見が相次いだ。
 フランスや韓国がマスク着用義務を5月から緩めるなど、海外では脱マスクの動きが広がる。首相は大型連休中の外遊の際、訪問先のルールに合わせ、マスクを外して各国首脳との会談などに臨んだ。こうした首相の振る舞いもインターネット上などでのマスク不要論に拍車を掛けている。
 政府は今のところ、昨年6月の指針でマスク着用は緩和済みとの立場。松野博一官房長官は12日の会見で、この指針に沿って「人と距離を十分取れれば、屋外でのマスク着用は必ずしも必要でない。特に気温・湿度が高く、人との距離を2メートル以上確保できている場合は、マスクを外すことを推奨している」と説明した。
 ただ、東京都の小池百合子知事は12日の会見で「国が明確に方針を決めるのが最初」と述べ、指針の一層の明確化を求めた。
 コロナ禍は3年目に入り、現行の指針は厳し過ぎるとの声が政府内からも出ている。山際大志郎経済再生担当相は11日の全国知事会とのオンライン会議で「子どもに我慢してもらわなくていい状況をつくっていかなくてはいけない」と指摘。子どものマスク着用の在り方を再検討する考えを示した。 (C)時事通信社