沖縄県は50年前の本土復帰後しばらく、平均寿命が全国上位の「長寿県」だった。1980年は男女ともに1位だったが、2015年には男性36位、女性7位まで順位が低下した。肥満や生活習慣病が原因とされ、専門家からは「米軍統治下で起きた食生活の変化による影響が一気に顕在化した」との見方も出ている。
 国勢調査などのデータを基に、厚生労働省が5年ごとに作成している都道府県別生命表によると、沖縄県の平均寿命は本土復帰後、男女とも上位を維持していた。しかし、00年に男性が突如26位まで転落し、その後は下位に低迷。女性は05年まで1位を保っていたが、10年に3位、15年に7位まで下がった。
 県健康長寿課は順位の低下について、肥満や生活習慣病が原因だとみている。同課によると、県民が野菜を食べる割合が低下し、逆に肉などが増える傾向にある。成人の肥満率は男女ともに全世代で全国平均を上回っている。
 琉球大大学院医学研究科の益崎裕章教授によると、戦後すぐの県民の食生活は芋煮など食物繊維が豊富な食事が中心だった。米軍統治下の63年、県内初のファストフード店が誕生したのを皮切りに、米国の食文化が急速に流入。高カロリーな食事が身近となり、その頃から肥満動脈硬化が水面下で進行したという。益崎教授は「そうした食生活の影響が顕在化した頃に一気に順位が下がった。数十年のタイムラグがあり、世界的にもあまりない急激な変化だった」と指摘する。
 県は02年から「40年までに平均寿命日本一復活」を目標とする健康増進計画を策定。食生活を見直すための体験型イベントの開催など、持続的に健康に関心が持てるようさまざまな施策を打ち出している。同県宜野湾市では世界基準の国際医療拠点をつくる事業が進んでおり、市健康増進課の担当者は「宜野湾市から県全体に健康長寿のモデル事業を展開していきたい」と話している。 (C)時事通信社