世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する既存の抗ウイルス薬4剤の転用を検討する連帯治験(WHO Solidarity Trial)を2020年3月から実施し、昨年(2021年)の中間報告においてレムデシビル以外の3剤(ヒドロキシクロロキン、ロピナビル/リトナビル配合剤、インターフェロンβ-1a)については無効と結論つけている(新型コロナ治療薬4剤、有効性示さず" target="_blank">新型コロナ治療薬4剤、有効性示さず)。このたび、レムデシビルに関する最終解析の結果をLancet2022年5月2日オンライン版)に報告した。

死亡数が2倍になり解析の信頼度が増強

 同治験では、WHO世界区分の全6地域で成人COVID-19入院患者を登録し、各施設で利用可能な前述の抗ウイルス薬4剤のいずれかを投与する試験薬群と、標準治療のみを行う対照群に非盲検でランダム化された。

 主要評価項目は院内死亡率で、登録時の重症度別〔換気療法(挿管または非侵襲的換気)、酸素投与の有無〕に算出。副次評価項目は、換気療法移行および入院期間とした。

 最終解析までに、参加施設は35カ国454施設に増え、レムデシビルに関する試験への登録は、試験薬群と対照群を合わせて8,275例(70歳未満78%、男性63%、換気療法施行済み8%)となった。また死亡数は中間解析時の2倍超となり、より信頼できる解析が可能となった。

酸素投与あり・換気療法なし群のみで有意差

 ITT解析の結果、全体の院内死亡率は対照群の15.6%に対しレムデシビル群では14.5%で、死亡率比(RR)は0.91(95% CI 0.82~1.02、P=0.12)だった。また、換気療法施行済みの重症患者(706例)では院内死亡率が、対照群の38.6%に対しレムデシビル群では42.1%(RR 1.13、95%CI 0.89~1.42、P=0.32)であり、全体および重症例ではレムデシビル投与による院内死亡率の有意な低下は認められなかった。

 換気療法は未施行だが酸素投与済みの患者5,839例の院内死亡率は、対照群の16.3%に対してレムデシビル群では14.6%だった(RR 0.87、95%CI 0.76~0.99、P=0.03)。酸素未投与例の1,730例では、対照群の3.8%に対してレムデシビル群では2.9%だった(同0.76、0.46~1.28、P=0.30)。換気療法未施行例を総合すると、院内死亡率は対照群の13.5%に対してレムデシビル群では11.9%(同0.86、0.76~0.98、P=0.02)、換気療法移行率は、それぞれ15.7%、14.1%だった(同0.88、0.77~1.00、P=0.04)。

 入院期間は、対照群と比べてレムデシビル群で約1日長かった。COVID-19入院患者にレムデシビルを投与した他の全てのランダム化試験のメタ解析結果も更新されたが、死亡率に関する結果は連帯治験と同様だった。

 研究者らは「換気療法施行済みのCOVID-19患者において、レムデシビルの有意な効果は認められなかった。それ以外の入院患者では死亡および換気療法移行を若干減少させた」と結論。「現在使用されている経口抗ウイルス薬や免疫調節薬、抗体医薬は、レムデシビル連日投与と比べCOVID-19に対し効果的かつ簡便、安価な可能性があり、大規模ランダム化試験で比較する必要がある」と付言している。

(小路浩史)