広島が苦境をはね返した。複数の選手らが新型コロナウイルス陽性となり、25日の試合が直前で中止。2日間の活動休止を経て前日練習のみで臨んだ一戦だった。
前半はエンジンがかからなかったが後半に細かいパスが通り始めると、ペナルティーエリア手前でFKを獲得。キッカーの野津田は「とにかく壁を越えて縦回転で落とせば、キーパーは反応しづらい」。13分、左足を振り抜くと、思い描いた軌道でゴール右へ。期限付き移籍を繰り返していたため、広島では7年ぶりとなるゴールが貴重な先制点となった。
この日は2年前に引退し、昨年から延期になっていたセレモニー出席のため、レジェンド佐藤寿人さんが会場に来ていた。「一番お世話になり、夢を与えてくれた偉大な先輩。その先輩が来ている日に決めたいという特別な思いがあった」。ボランチで奮闘する27歳はゴール直後、両手の人さし指を立てて、佐藤さんが着けた背番号「11」を表現して喜んだ。
名古屋の勢いを止め、実質1試合少ない中で、暫定4位に浮上。スキッベ監督は「苦しさを乗り越えての勝ち点3。本当によく頑張った」と選手をねぎらった。 (C)時事通信社
苦境はね返した広島=野津田、大先輩の前で一発―J1

(2022/05/28 20:10)