新型コロナウイルス治療薬を開発すると発表した医療ベンチャー「テラ」(東京)をめぐるインサイダー取引事件で、金融商品取引法違反罪に問われた不動産会社「内田建設」(横浜市)の社長久保田俊明被告(53)と法人としての同社の初公判が30日、東京地裁(内山裕史裁判官)であり、久保田被告と同社は起訴内容を認めた。検察側が同被告に懲役1年6月、罰金100万円などを求刑し結審した。判決は7月4日。
事件では、テラ社と提携していた医療機器開発「セネジェニックス・ジャパン」(東京、破産手続き中)社長だった竹森郁被告(51)らが、テラ社の株価をつり上げるため虚偽情報を開示したとして同法違反(偽計)などの罪で起訴されている。
検察側は冒頭陳述で、久保田被告が既に保有していたテラ社株約148万株の売却を竹森被告に止められていたため、出資金を回収しようとインサイダー取引を行い約878万円の利益を得たと指摘。論告で「証券市場の信頼と健全性を損なった」と非難した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。
起訴状によると、久保田被告は2020年5月、テラ社によるコロナ治療薬の臨床試験で患者の症状に改善が見られたなどの情報を竹森被告から得て、公表前にテラ社株2万株を約1740万円で買い付けたとされる。 (C)時事通信社
不動産業社長に懲役1年6月求刑=「コロナ新薬」インサイダー―東京地裁

(2022/05/30 13:35)