中国・Nanjing Medical University/英・University of EdinburghのYou Li氏らは、5歳未満児のRSウイルスによる急性下気道感染症(RSV-ALRI)の発症率と死亡割合を検討した未発表データを含む研究481件のシステマチックレビューとメタ解析を実施。その結果、2019年の世界における全死亡に占めるRSV-ALRIによる死亡割合は5歳未満児で2%、生後28日~6カ月児で3.6%に上るとの推計結果をLancet2022年; 399: 2047-2064)に発表した。

2019年に3,300万人が発症、360万人が入院

 University of Edinburghの先行研究によると、2015年の推計では世界の5歳未満児におけるRSV-ALRI患者数は3,310万人、RSV-ALRIによる入院患者数は320万人、死亡者数は11万8,200人だった(Lancet 2017; 390: 946-958)。

 今回の研究では、新たに2017年1月1日~20年12月31日にMEDLINE、EMBASE、Global Health、CINAHL、Web of Scienceなどの医学データベースに掲載された研究を検索し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック発生前の2019年までに生後0~60カ月児におけるRSV-ALRIの発症率および死亡率を推計した研究113件と未発表データ51件を特定。2015年の推計に用いられた研究317件と合わせ、計481件をメタ解析に組み入れた。

 検討の結果、2019年の世界の5歳未満児におけるRSV-ALRI患者数は3,300万人〔不確実性範囲(UR)2,540万~4,460万人〕で、うち5人に1人に相当する660万人(同460万~970万人)が6カ月未満児と推定された。

 RSV-ALRIにより入院した5歳未満児は360万人(UR 290万~460万人)で、うち39%に相当する140万人(同100万~200万人)が6カ月未満児だった。

10万人超が死亡、約半数は生後6カ月未満

 また、5歳未満児における全死亡の2.0%(UR 1.6~2.4%)に相当する10万1,400人(同8万4,500~12万5,200人)がRSV-ALRI関連死と推定された。全死亡に占めるRSV-ALRI関連死の割合は生後28日~6カ月児で最も高く、3.6%(同3.0~4.4%)に上った。6カ月未満児のRSV-ALRI関連死は4万5,700人(同3万8,400~5万5,900人)だった。

 RSV-ALRIによる死亡の内訳は、院内死亡が2万6,300人(UR 1万5,100~4万9,100人)で、うち51%に相当する1万3,300人(同6,800~2万8,100人)が6カ月未満児だった。

RSV関連死の97%超が低・中所得国で発生

 国・地域別に見ると、生後0~6カ月の全ての年齢層において、RSV-ALRI発症の95%超およびRSV-ALRI関連死の97%超が低・中所得国で発生していた。低・中所得国におけるRSV-ALRI発症率(小児1,000人・年)は国による差が大きく、中国の40.3人(95%UR 29.7~54.6人)からエスワティニの83.4人(同61.6~113.1人)までの幅があった。

 以上を踏まえ、Li氏らは「小児のRSVに起因する死亡割合は高く、2019年には世界で5歳未満児の2%、生後28日~6カ月児の3.6%がRSVにより死亡したと推定された」と結論している。

(太田敦子)