政府は31日の閣議で、2022年版「ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を決定した。身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の被害が増加する中、中小企業を含めたサイバーセキュリティー対策の重要性を強調。また、欧米などで進むサプライチェーン(供給網)全体の人権を尊重する動きをにらみ、日本企業にも取り組みを促した。
 白書によると、21年のランサムウエアの被害報告のうち過半数が中小企業だった。しかし、中小企業の3割が「セキュリティー対策を特に実施していない」と回答。白書は、供給網全体のセキュリティー対策強化のため中小企業を対象とした支援が必要だと訴えた。
 また、主要企業を対象にした調査では、取引先で強制労働などの人権侵害が起きていないか調べる「人権デューデリジェンス(適正評価手続き)」を実施していたのは、回答した760社の半数にとどまった。白書は「日本企業の取り組みにはなお改善が必要」と指摘した。 (C)時事通信社