新卒学生らを対象にした採用選考が新型コロナウイルス下で3度目を迎え、主要企業は1日、2023年春卒業予定者の面接を始めた。感染対策として広がったオンライン形式が定着したものの、最後は直接会って話しコミュニケーション能力などを見極めたいとの企業側の考えもあり、最終面接を対面方式に戻す動きが目立つ。
 損害保険ジャパンは同日、1次面接をスタートした。2次面接まではオンラインだが、最終面接は対面で実施する予定。前年までは2年連続ですべてオンラインで行ってきたが、人事部の森川絢子課長は「『会社の様子をリアルに見たい』という学生の希望を何とかかなえられないか検討した」と話す。
 三井住友海上火災保険も最終面接について、前年は一部地域でオンラインだったが、今年はすべて対面で行う方針だ。
 総合職の採用を3年ぶりに再開した全日本空輸もオンラインで1次面接を開始した。コロナ禍で採用を見送った過去2年間に応募できなかった学生に配慮し、新卒採用の門戸を「卒業後3年以内」に広げた。採用数は55人程度とコロナ禍前の半分以下だが、人事部の片桐伸樹担当部長は「明るい兆しが見えてきた」と語った。
 日本航空も、3年ぶりとなる客室乗務員の採用面接を始めた。
 ただ、多くの企業では既に採用選考が進んでおり、「青田買い」が加速しているのが実態だ。マイナビ(東京)によると、4月末時点で内定率は前年の同じ時期と比べ6.4ポイントも高い47.3%に上った。政府は面接などの「採用選考活動」を6月1日以降に始めるよう求めているが、スケジュールの形骸化に拍車が掛かっている。 (C)時事通信社