日本循環器学会は6月1日、「脳卒中と循環器病克服第一次5ヵ年計画」(以下、第一次5ヵ年計画)の検証結果の補遺として、脳血管疾患および心疾患による年齢調整死亡率を公表した。それによると、心疾患のうち急性心筋梗塞(AMI)による死亡は31%減少していたものの、心不全による死亡は男性で3.6%増加していることが分かった。

現状を反映した新モデル人口で算出

 第一次5ヵ年計画とは、高齢化が進む日本において健康寿命の延伸実現に向け、日本脳卒中学会と日本循環器学会が脳卒中および循環器病を克服するために策定した目標と戦略で、2016年12月に公表した。2018年12月には「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立した。

 両学会は、昨年(2021年)12月に第一次5ヵ年計画の結果を公表したが、厚生労働省が2020年の年齢調整死亡率および2019年の健康寿命を発表していなかったため、暫定的な評価にとどまっていた。

 厚労省がそれらを発表したことを受け、今回両学会は第一次5ヵ年計画データの補遺として2015~20年における脳血管疾患・心疾患の年齢調整死亡率を公表した。年齢調整死亡率の算出に際し、従来用いていた1985年のモデル人口からより現実の人口構成に近い2015年のモデル人口に変更した。

目標の5年間で5%減少を達成

 2015年における人口10万人当たりの脳血管疾患死は男性で116、女性で72.6だったが、2020年にはそれぞれ93.8、56.4に減少。脳血管疾患の年齢調整死亡率は、5年間で男性が19.1%減少、女性が22.3%減少と算出された。同様に、くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞に関しても男女とも年齢調整死亡率の減少が認められた。

 心疾患死についても減少が認められ、人口10万人当たりの死亡は2015年の男性203.6、女性127.4に対し、2020年にはそれぞれ190.1、109.2に減少。心疾患の年齢調整死亡率は、5年間で男性が6.6%減少、女性が14.4%減少となった。

 すなわち、目標としていた5年間で脳卒中および心疾患の死亡率の5%減少を男女とも達成した。

 ただし、心疾患のうちAMIによる死亡は男女とも減少した一方で、心不全による死亡の減少は女性(-8.3%)でのみ認められ、男性は3.6%増加(66.6→69)していた。

 これらの結果を踏まえ日本循環器学会は、「なおいっそう心不全への対策を講じる必要があることが示唆された」との見解を示している。

(田上玲子)