これまでの新型コロナウイルス対応を検証する政府の有識者会議は3日、報告書の取りまとめに向けた論点整理を公表した。飲食店への時短営業要請を中心とした「まん延防止等重点措置」について、地域の実情に応じた運用などを求める声があることを踏まえ、「適用の考え方の整理が必要」と提起。政府の体制については「首相が司令塔となり、一元的に感染症対策を行う体制を強化する」と明記した。
 論点整理は、2019年末のコロナ発生以降に明らかになった課題を列挙した。医療体制では、都道府県と医療機関の連携不足から「病床や発熱外来などが十分に確保できないことがあった」と総括。保健所の業務逼迫(ひっぱく)などに触れ「検査ニーズの高まりに十分対応できなかった」とした。
 ワクチン接種の遅れに関しても「早期にワクチンや治療薬を開発する企業を育成する取り組みや、疫学・臨床研究、創薬などのために医療情報を利活用する枠組みが不十分だった」と指摘した。
 政府分科会(尾身茂会長)を含む政府への助言組織については「メンバーの個々の発言が政府方針と齟齬(そご)があるかのように受け止められ、リスク・コミュニケーションの在り方として問題があった」と分析した。
 有識者会議は論点整理を基に議論を続け、今国会会期末の15日までに報告書を取りまとめる。 (C)時事通信社