米・National Jewish HealthのMax A. Seibold氏と米・Vanderbilt UniversityのTina V. Hartert氏らは、子を持つ約1,400家族・4,000例超を対象に喘息、アレルギー疾患と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染について検討。その結果、喘息はSARS-CoV-2感染の危険因子ではなく、食物アレルギーがあると感染リスクが50%低くなることが分かった、とJ Allergy Clin Immunol2022年5月31日オンライン版)で報告した。

小児は無症候感染率が高い

 これまで、喘息やアレルギー疾患とSARS-CoV-2感染リスクの関係については明らかでなかった。そこでHartert氏らHuman Epidemiology and Response to SARS-CoV-2 (HEROS)研究チームは、SARS-CoV-2ワクチン接種普及や変異株拡大以前の2020年5月15日~21年2月1日に両者の関連について検討した。対象は、米国12都市に在住し21歳以下の子を持つ1,394家族・4,142例。隔週で鼻腔拭い液を用いたPCR検査を実施し、家族の体調不良者に対しては毎週PCR検査と合わせて感染・症状の有無を判定した。対象の内訳は保護者が1,978が例(47.8%)、小児・ティーンエージャーが2,164例(52.2%)で、平均年齢はそれぞれ41.1歳と10.2歳だった。

 喘息は保護者の22.2%、子供の32.9%に認められ、喘息以外のアレルギー疾患はそれぞれ52.1%、56.9%に認められた。喘息以外のアレルギー疾患の内訳は、食物アレルギーが10.2%、20.7%、アトピー性皮膚炎が10.2%、24.0%、上気道アレルギー疾患(花粉症、アレルギー性鼻炎)が47.0%、44.5%だった。

 研究期間中に147家族の261例(保護者124例、小児・ティーンエージャー137例)がSARS-CoV-2陽性と判定された(SARS-CoV-2感染率10.5%)。SARS-CoV-2の感染割合は全体で14.0%(95%CI 10.3~17.5%)、小児は14.0%、(同8.0~19.6%)、ティーンエージャーは12.1%(同8.2~15.9%)、成人は14.0%(同9.5~18.4%)と同等だった。また陽性者に占める無症候感染の割合は小児75.5%、ティーンエージャー58.8%、成人37.5%だった。感染者が1例発生した家族の58%で複数感染が発生した。

 アレルギー疾患別にSARS-CoV-2感染リスクを見ると、食物アレルギー非保有者に対し食物アレルギーの保有者ではリスクが50%低下かった〔調整ハザード比(aHR)0.50、95%CI 0.32~0.81〕。一方、喘息(同1.04、0.73~1.46)、アトピー性皮膚炎(同1.06、 0.75~1.50)、上気道アレルギー疾患(同0.96、0.73~1.26)との関連は認められなかった。

小児は効率的な家族内感染伝播者

 今回の検討では、有症状感染家族への曝露(aHR 87.39、95%CI 58.02~131.63)、無症候感染家族への曝露(同27.80、17.16~45.03)、少数人種/民族(同1.59、1.15~2.21)、過体重/肥満(同1.41、1.06~1.87)がSARS-CoV-2感染リスク上昇の有意な危険因子として抽出された。さらに、BMIとSARS-CoV-2感染リスクには強い直線相関が認められ、BMIパーセンタイルが10ポイント上昇するごとにSARS-CoV-2感染リスクは9%上昇した(同1.09、1.03~1.15)。

 Hartert氏らは、アレルギー性炎症は気道上皮細胞におけるACE2発現を抑制すること、食物アレルギー患者は外食機会が少ないことなどから、SARS-CoV-2感染リスクが低下した可能性があると考察している。

 また同氏らは、SARS-CoV-2感染者のウイルス量が小児、ティーンエージャー、成人で同等で、小児では無症候感染率が高かったことから、ウイルス量が多い成人よりもウイルス量が多い小児で無症候感染リスクが高いことが示唆されたと述べている。

 最後に同氏らは「無症候感染率の高さ、ウイルス量の多さ、家族とのスキンシップ頻度の多さなどにより、低年齢児は効率的に家族内感染を拡大させる伝播者となる可能性がある」と結論している。

(大江 円)