糖尿病治療薬のGIP/GLP-1受容体作動薬tirzepatideが、肥満/過体重の非糖尿病者において72週間の週1回投与で15~20%の大幅な体重減少をもたらすことが示された。米・Yale University School of MedicineのAnia M. Jastreboff氏らが、tirzepatideの安全性と有効性を検討した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験SURMOUNT-1の結果を第82回米国糖尿病学会(ADA 2022、6月3日~7日)で報告、詳細がN Engl J Med2022年6月4日オンライン版)に同時掲載された。

5mg群で15.0%、10mg/15mg群で20%体重減

 TirzepatideはGIPおよびGLP-1の2種類のインクレチンに作用する週1回皮下投与のGIP/GLP-1受容体作動薬で、2型糖尿病患者を対象に行われた第Ⅱ相試験において、臨床的に意味のある体重減少効果を示していた。

 今回のSURMOUNT-1試験では、世界9カ国(米国、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、中国、日本、台湾、インド、ロシア)でBMI 30以上または1つ以上の体重関連合併症(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、心血管疾患)を有するBMI 27以上の糖尿病でない成人2,539例を登録。tirzepatide 5mg群(630例)、10mg群(636例)、15mg群(630例)またはプラセボ群(643例)に1:1:1:1でランダムに割り付けて72週間治療した(最長20週間の用量漸増期間を含む)。

 主要評価項目は、72週時点でのベースラインからの体重変化率および72週時点で5%以上の体重減少を達成した割合。副次評価項目は、72週時点でのベースラインからのトリグリセライド、non-HDLコレステロール、HDLコレステロール、空腹時インスリン値の平均変化率などとした。

 対象の平均年齢は44.9歳、女性が67.5%。平均体重104.8kg、平均BMI 38.0、BMI 30以上94.5%。収縮期血圧(SBP)は平均123.3mmHg、拡張期血圧(DBP)は平均79.5mmHg、前糖尿病が全体の40.6%を占めていた。

 主要評価項目に関する解析の結果、72週時点での体重の平均変化率は、プラセボ群の-3.1%(95%CI -4.3~-1.9%)に対しtirzepatide 5mg群で-15.0%(同-15.9~-14.2%)、10mg群で-19.5%(同-20.4~-18.5%)、15mg群で-20.9%(同-21.8~-19.9%)といずれも有意に高かった(全てP<0.001)。

 72週時点で5%以上の体重減少を達成した患者の割合についても、プラセボ群の34.5%(95%CI 29.8~39.2%)に対しtirzepatide 5mg群で85.1%(同81.6~88.6%)、10mg群で88.9%(同85.9~91.9%)、15mg群で90.9%(同88.0~93.8%)といずれも有意に高かった(全てP<0.001)。

10mg/15mg群の約半数が20%以上の体重減達成

 72週時点で20%以上の体重減少を達成した患者の割合は、プラセボ群の3.1%(95%CI 1.1~5.1%)に対しtirzepatide 5mg群で30.0%(同26.4~33.6%)、10mg群で50.1%(同46.0~54.2%)、15mg群で56.7%(同52.6~60.8%)だった(全てP<0.001)。

 副次評価項目に関しては、72週時点でのベースラインからの脂質の平均変化率は、プラセボ群に対しtirzepatide群でトリグリセライド値の有意な低下(プラセボ群-6.3% vs. tirzepatide 3群全体-27.6%)、non-HDLコレステロール値の有意な低下(同-1.8% vs.-11.3%)、HDLコレステロール値の有意な上昇(同0.3% vs. 7.9%)が認められた。

 空腹時インスリン値もプラセボ群に対しtirzepatide群で有意な低下が認められた(プラセボ群-9.7% vs. tirzepatide 3群全体-46.9%)。

 tirzepatideの安全性プロファイルは、これまでの2型糖尿病患者を対象に行われたSURPASS試験の結果と同等で、最も多く報告された有害事象は消化器関連有害事象(悪心、下痢、便秘)だった。大半が一過性の軽度~中等度で、主に用量漸増期間中に発生していた。有害事象による投与中止率はtirzepatide 5mg、10mg、15mgでそれぞれ4.3%、7.1%、6.2%、プラセボ群で2.6%だった。

 以上を踏まえ、Jastreboff氏らは「肥満の非糖尿病者に対するtirzepatide 5mg、10mg、15mgの週1回皮下投与は、大幅かつ持続的な体重減少をもたらした。またtirzepatide群では事前に設定した心血管代謝指標の全てで改善が認められた。tirzepatideは肥満に対する薬物療法の重要な選択肢になりうる」と結論している。

(太田敦子)