米・Albert Einstein College of Medicine/Montefiore Headache CenterのRichard B. Lipton氏らは、片頭痛を有する成人を対象に、片頭痛予防薬である経口低分子カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬atogepantの有効性と安全性を検討した第Ⅲ相多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム比較試験(RCT)ADVANCEの二次解析を実施。その結果、同薬1日1回10mg、30mg、60mg全ての投与群で月平均片頭痛日数(MMD)が有意に減少したとJAMA Netw Open(202; 5: e2215499)に報告した(関連記事「片頭痛の発症日数がほぼ半減!新薬atogepant」)。
平均MMDが50%以上、25%以上、75%以上、100%減少した割合で治療反応率を評価
ADVANCEは2018年12月14日~20年6月19日に米国128施設で実施された第Ⅲ相RCTである。対象は、片頭痛の発症日数が月に4~14日の成人902例(平均年齢41.6歳、女性801例、白人752例、非ヒスパニック825例)で、そのうち873例を修正intention-to-treat集団に組み入れた。対象を1:1:1:1で4群〔atogepant 10mg群(222例)、同30mg群(230例)、同60mg群(235例)、プラセボ群(223例)〕に割り付け、それぞれ1日1回12週間経口投与した。
一次解析結果は昨年(2021年)発表され、atogepantの1日1回経口投与で12週間にわたり頭痛および片頭痛の発症日数がほぼ半減したことが示されている(N Engl J Med 2021; 385: 695-706)。Lipton氏らは今回、二次解析の結果を報告した。
二次解析では、12週の治療期間中に平均MMDが50%以上(副次評価項目)、25%以上、75%以上、100%(事前に規定した追加エンドポイント)減少した者の割合で治療反応率を評価した。
60mg群では7.7%がMMD100%減少を達成
解析の結果、平均MMDが50%以上減少したのは、プラセボ群の214例中62例(29.0%)に対し、atogepant 10mg群では214例中119例(55.6%、オッズ比3.1、95%CI 2.1〜4.6)、30mg群では223例中131例(58.7%、同3.5、2.4〜5.3)、60mg群では222例中135例(60.8%、同3.8、2.6〜5.7)といずれも有意差が認められた(全てP<0.001)。
平均MMDが25%以上減少したのは、プラセボ群の214例中126例(58.9%)に対し、atogepant 10mg群で214例中157例(73.4%)、30mg群で223例中172例(77.1%)、60mg群では222例中180例(81.1%)だった(全てP<0.002)。
平均MMDが75%以上減少したのは、プラセボ群の214例中23例(10.7%)に対し、atogepant 10mg群では214例中65例(30.4%)、30mg群では223例中66例(29.6%)、60mg群では222例中84例(37.8%)だった(全てP<0.001)。
平均MMDが100%減少したのは、プラセボ群の214例中2例(0.9%)に対し、atogepant 10mg群では214例中17例(7.9%、P=0.004)、30mg群では223例中11例(4.9%、P=0.02)、60mg群では222例中17例(7.7%、P=0.003)だった。
治療上有害な副作用を報告した患者の割合は、全てのatogepant投与群〔10mg群221例中117例(52.9%)、30mg群228例中119例(52.2%)、60mg群231例中124例(53.7%)〕とプラセボ群〔222例中126例(56.8%)〕で同等で、atogepantの安全性に関する懸念は確認されなかった。
以上から、12週の追跡期間においてatogepantは全ての用量で有効性を示し、また全ての反応閾値において平均MMDの有意な減少が認められた。
今回の結果について、Lipton氏らは「特に高用量で最も高い反応率を示した点は、臨床医が開始用量を個別に設定する際の指針となりうる」と述べている。
(今手麻衣)