【ジュネーブ時事】12日から開かれていた世界貿易機関(WTO)閣僚会議は17日朝(日本時間同日午後)、6年半ぶりに閣僚宣言を採択して閉幕した。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で穀物価格が高騰していることを受け、食料危機対策として貿易を促進し、不当な規制を設けないことで合意。WTO改革の目標も掲げた。
閣僚宣言は加盟国による全会一致の採択が必要で、2015年12月のナイロビ会議以来。オコンジョイウェアラWTO事務局長は記者会見で「多国間の課題に対して成果を示すことができた」とアピールした。
宣言は「貿易は世界の食料安全保障の改善に非常に大きな役割を持つ」と明記。すべての国に食料が行き渡るよう、不当な輸出制限を行わない方針をうたった。
WTO改革に関しては「直面する課題に対処し、適切に機能する必要がある」と指摘。米国が委員の任命に反対して機能不全に陥っている上級委員会を含め、貿易紛争処理の仕組みを24年までに見直すことを決めた。
新型コロナウイルス対策では、途上国がワクチンを入手しやすくするため、先進国の製薬会社が保有する特許を最大5年間放棄することで一致。懸案の漁業問題をめぐっては、乱獲につながる補助金を原則廃止する一方、水産資源の回復に取り組んでいる場合の支出を認めた。
中長期的な農業改革に向けて補助金や関税などを削減する計画づくりは、各国の対立が大きく、合意に至らなかった。
萩生田光一経済産業相は宣言採択について「WTOを中心とした多角的貿易体制の維持、強化のための大きな一歩だ」との談話を発表。会議に参加した武部新農林水産副大臣は記者団に対し、宣言は「食料の純輸入国である日本にとって望ましい内容だ」と評価した。 (C)時事通信社
食料危機対策で合意=6年半ぶり閣僚宣言―改革、漁業も一致・WTO

(2022/06/17 17:59)