カナダ・Université de SherbrookeのFrançois Lamontagne氏らは、集中治療室(ICU)に入室し昇圧薬治療を受けている敗血症患者872例を対象に、ビタミンC(VC)の静注が死亡および臓器機能障害のリスクを低減させるかどうかを検討する第Ⅲ相多施設共同ランダム比較試験(RCT)LOVITを実施した。その結果、VCを静注した患者では、プラセボを投与した患者よりも28日後の死亡または持続的な臓器機能不全のリスクが高いことが示されたとN Engl J Med(2022年6月15日オンライン版)に報告した。

VC静注療法のエビデンスは乏しい

 敗血症では、VC投与による抗酸化作用が酸化ストレスによる組織傷害を軽減する可能性がある。多くの重症患者において血中VC濃度の低下が見られること、昇圧薬へのVC静注の併用が有効であるとする小規模研究の結果などからVCの補充は有効であると考えられている。しかし、その後のRCTではVC併用療法の有効性が明確になっておらず、CITRIS-ALI試験では28日目の死亡率はビタミンC群で有意に低いことが報告されたが(JAMA 2019;322:1261-1270)、最近のメタアナリシスでは、敗血症患者におけるビタミンC投与の有用性を裏付けるエビデンスは確実性に乏しいことが示されている(Intensive Care Med 2022; 48: 16-24Crit Care Med 2022; 50: e304-e312)。

 そこでLamontagne氏らは、カナダ、フランス、ニュージーランドの35の内科・外科ICUで、敗血症患者へのVCの大量静注が死亡および臓器機能障害のリスクを低減させるかを検討するLOVIT試験を実施した。

 対象は、ICUに24時間以内に入室した感染症確定例または疑い例として昇圧薬を投与されている18歳以上の成人872例。そのうち863例がVC群(429例)とプラセボ群(434例)にランダムに割り付けられた。VC群には体重1kg当たり50mgのVCを50mLの5%ブドウ糖水溶液または生理食塩水に混ぜて静脈内投与。ICU入室中6時間ごとに30〜60分かけて96時間投与した。プラセボ群ではブドウ糖5%水溶液または生理食塩水を投与した。主要評価項目は、28日目の死亡または持続的な臓器機能障害(血管拡張薬の使用、気管内挿管、新規腎代替療法によって定義)の複合とした。

VC静注患者では死亡および臓器機能不全リスクが1.2倍に

 ベースライン時の患者の特徴は両群で類似していた。ICU滞在日数の中央値は6日〔四分位範囲(IQR)3〜12日〕、入院日数の中央値は16日(IQR 8〜32日)であった。

 28日間の死亡または持続的な臓器機能不全例の合計は、VC群では429例中191例(44.5%)、プラセボ群では434例中167例(38.5%)とVC群でリスクが有意に高いことが示された〔リスク比1.21、95%CI 1.04~1.40、P=0.01〕。死亡例はVC群では152例(35.4%)、プラセボ群では137例(31.6%)であった(同1.17、0.98~1.40)。持続的臓器機能不全例はVC群では39例(9.1%)、プラセボ群では30例(6.9%)であった(同1.30、0.83~2.05)。臓器機能スコア、バイオマーカー、6カ月生存率、健康関連QOL、ステージ3の急性腎障害、低血糖エピソードについては両群で同様の結果であった。

 以上から、ICUで昇圧薬治療を受けている成人の敗血症患者において、VCを静注された患者はプラセボ患者よりも28日後の死亡あるいは持続的な臓器機能不全のリスクが高いことが示された。

 今回の結果についてLamontagne氏らは「予想外の結果であり、組織障害、炎症、血管内皮障害など5つのバイオマーカーの評価を含む副次的解析を行ったが、有害性のメカニズムは明らかではなかった」と述べている。また、既報のRCTであるCITRIS-ALI試験などとは異なる結果であったことについて、「CITRIS-ALI試験の対象は敗血症と急性呼吸窮迫症候群でVC投与開始がランダム化後6時間であったのに対し、われわれの対象は敗血症発症早期から組み入れられVC投与が4時間以内に開始されたことなど、呼吸不全の有無やベースライン特性の違いが影響した可能性が考えられる」としている。

今手麻衣