【ジャカルタ時事】新型コロナウイルス対策の持続化給付金を詐取した疑いで警視庁に22日逮捕された谷口光弘容疑者(47)は、逃亡先のインドネシアでナマズの養殖に乗り出していた。「片言のインドネシア語で交渉し、養殖用の池を借りた」「寡黙で非社交的だった」。時事通信の取材に住民が振り返った。
人口約3400人、広さ約4平方キロメートルのランプン州スリダディ村。隣組長のスワルタムさん(49)によると、魚の養殖が盛んな同村に谷口容疑者が現れたのは5月6日だった。
150平方メートルほどの池を七つ借り、ナマズの稚魚10万匹を放った。「わずかなインドネシア語に身ぶり手ぶりを交え、交渉していた。即金で支払い、金持ちに見えた」。村にホテルはなく、取引を仲介した村民の家に1泊して去った。
約1週間後に再訪し、今度は事務所の建設を開始。やはり1泊だけして帰り、「他の住民と接することはなかった」。車で25時間かかる、700キロ離れた都市パダンから自ら運転して来たという。なぜか1時間の距離にある最寄りの国際空港を使わなかった。
3度目は今月7日。事務所がほぼ完成していたが、その夜、身柄を拘束された。インドネシアの入管によると、谷口容疑者は2020年10月16日に入国。半年後に滞在許可を取得し、首都ジャカルタに住んでいた。
谷口容疑者が買ったナマズは成長し、8月に収穫期を迎える。スリダディ村は、不在の主に代わってエサやりや掃除を続けている。 (C)時事通信社
逃亡先でナマズ養殖=「片言で交渉」「非社交的」―逮捕の谷口容疑者

(2022/06/22 16:35)