インドネシアに逃亡していた谷口光弘容疑者(47)が警視庁に逮捕された。飲食店経営や不動産売買、太陽光発電事業、油田開発…。地元・三重でやり手として知られた青年実業家は、事業の成功と挫折を繰り返した末、新型コロナウイルス対策の持続化給付金を不正受給するグループのリーダー格になったとみられる。
三重県松阪市で生まれ育った谷口容疑者は、地元の私立高校を卒業後、20代前半で独立してバーを経営。他にも飲食店を立ち上げるなどして成功を収め、同市内に不動産会社も開業した。
元妻梨恵容疑者(45)=詐欺容疑で再逮捕=と結婚後、6人の子どもに恵まれた。松阪市内のプール付き自宅で暮らすなど羽振りの良さをうかがわせたが、同市の不動産業の女性は「ごく普通の家族だった」と話す。
一方、谷口容疑者をよく知る男性は「リスクを恐れない野心的な青年実業家だった」と語る。
男性によると、谷口容疑者は太陽光発電事業にも着目し、ソーラーパネルが設置される土地の転売で数億円を稼いだとされる。
2010年代半ばに上京後は「これからは太陽光ではなく油田だ」と息巻いたが、インドネシアでの油田開発事業への投資は失敗に終わり、大きな損害を被った。韓国クラブ買収や仮想通貨(暗号資産)関連事業にも手を出したがうまくいかず、損失は取り戻せなかったという。
20年5月に国が持続化給付金の申請受け付けを始めると、男性は谷口容疑者から「申し込みをしたか」と電話で勧誘を受けたが、断った。男性は「金もうけの才能はあったが、国の金に手を出したら擁護のしようがない」と話した。 (C)時事通信社
浮沈繰り返した実業家=自宅にプール、多業種参入―逮捕の谷口容疑者・持続化給付金不正

(2022/06/23 17:08)