中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)に対する経口選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ウパダシチニブによる導入/維持療法の有効性と安全性を検討した3件の国際第Ⅲ相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験の結果、導入/維持療法ともに、ウパダシチニブはプラセボと比べて安全性に遜色なく有意に高い臨床的寛解率を達成。活動性UCに対する有望な新規治療法であることが示された。詳細はイタリア・University Vita-Salute San RaffaeleのSilvio Danese氏らがLancet2022; 399: 2113-28)に報告した。

数十カ国の約200施設で導入試験8週、維持試験52週追跡

 ウパダシチニブは、JAK1に対する高い選択性を有し、日本では既存治療で効果不十分な関節リウマチ、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、アトピー性皮膚炎および強直性脊椎炎の治療薬として承認されている。UCに関しては今年(2022年)4月に米食品医薬品局(FDA)に承認されたが、日本と欧州では未承認である(関連記事「米・ウパダシチニブ、中等~重症の活動性潰瘍性大腸炎で承認」)。

 今回結果が発表されたのは、中等度~重度の活動性UC患者を対象とした2件の第Ⅲ相寛解導入療法試験〔U-ACHIEVE試験(UC1)およびU-ACCOMPLISH試験(UC2)〕と1件の維持療法試験〔U-ACHIEVE試験(UC3)〕。対象は欧州、北米、南米、オーストラリア、アフリカ、アジア太平洋地域の39カ国199施設(UC1)、40カ国204施設(UC2)、35カ国195施設(UC3)で登録された。

 UC1/2は同一デザインで、対象は中等度~重度の活動性UC(Adapted Mayoスコアで5~9点、内視鏡サブスコア2または3点)に90日以上罹患している16~75歳の患者。ウパダシチニブ(45mg/日)群とプラセボ群に2:1でランダムに割り付け、8週間治療した。導入療法試験中の他のUC治療は、安定用量で継続してよいものとした。ただし、メトトレキサート以外の生物学的製剤、免疫抑制薬は使用禁止とした。

 UC3では、UC1/2で臨床反応が得られた患者を1:1:1の比率でウパダシチニブ15mg群、同30mg群、プラセボ群にランダムに割り付けて52週間治療した。

 有効性主要評価項目は、8週時(導入療法試験)および52週時(維持療法試験)における臨床的寛解とし、改変Mayoスコア2点以下と定義(ただし、直腸出血は0点、排便回数1点以下、内視鏡は粘膜脆弱性がなく1点以下とする)。有効性解析と安全性解析はいずれも、試験治療を1回以上受けた患者全例を対象とするintention-to-treat(ITT)解析により実施した。

寛解達成率は導入療法で26~34%、維持療法で42~52%

 UC1では2018年10月~20年9月に474例をウパダシチニブ群(319例)とプラセボ群(155例)に、UC2では2018年12月~21年6月に522例をウパダシチニブ群(345例)とプラセボ群(177例)にランダムに割り付けた。

 ウパダシチニブ群の臨床的寛解達成率は、UC1では26%、UC2では34%であり、プラセボ群のそれぞれ5%、4%と比べ有意に高かった(調整後の差:UC1 21.6%、95%CI 15.8~27.4%、UC2 29.0%、同23.2~34.7%、いずれもP<0.0001)。

 維持療法試験のUC3では8週間のウパダシチニブ導入療法で臨床反応が見られた451例(UC1から278例、UC2から152例、IIb相試験から21例)をウパダシチニブ15mg群(148例)と同30mg群(154例)、プラセボ群(149例)にランダムに割り付けた。

 52週時の臨床的寛解の達成率は、15mg群が42%、30mg群が52%、プラセボ群が12%で、ウパダシチニブの両群でプラセボ群と比べて有意に高かった(調整後の差:15mg群 vs. プラセボ群30.7%、95%CI 21.7~39.8%、30mg群 vs. プラセボ群39.0%、同29.7~48.2%、いずれもP<0.0001)。

 副次評価項目として、臨床的、内視鏡的、組織学的評価およびQOLの評価も行われたが、いずれもウパダシチニブ群で有意に良好だった。

重度AEおよびAEによる中止はウパダシチニブ群で低頻度

 導入療法試験で多かった有害事象(AE)は、UC1では鼻咽頭炎(ウパダシチニブ群5%、プラセボ群4%)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇(4%、2%)、ざ瘡(5%、1%)で、UC2ではざ瘡(7%、2%)だった。

 重度AEの発現率は、UC1ではウパダシチニブ群が3%でプラセボ群が6%、UC2ではそれぞれ3%、5%、AEによる中止はUC1では2%、9%、UC2では2%、5%であり、いずれもプラセボ群と比べウパダシチニブ群で低頻度だった。

 維持療法試験のUC3で多かったAEは、UC増悪(15mg群13%、30mg群7%、プラセボ群30%)、鼻咽頭炎(12%、14%、10%)、CPK上昇(6%、8%、2%)、関節痛(6%、3%、10%)、上気道感染(5%、6%、4%)だった。

 重度AEの発現率は15mg群が7%、30mg群が6%、プラセボ群が13%、AEによる中止率はそれぞれ4%、6%、11%であり、いずれもプラセボ群と比べウパダシチニブ群で低頻度だった。

 がんイベント、外部判定による主要有害心イベントおよび静脈血栓塞栓症の報告はまれで、治療関連死は認められなかった。

 Danese氏らは「今回の成績は中等度~重度の活動性UCに対する有望な治療選択肢としてのウパダシチニブの可能性を支持するものである」と結論。「ウパダシチニブは経口低分子薬であり、低い免疫原性や治療アドヒアランスの改善といった便益も提供できる可能性がある」と付言している。

(小路浩史)

  • Adapted Mayo score:直腸出血、排便回数、内視鏡の3スコアで構成され、各0~3点、合計0~9点で評価