3月期決算上場企業の株主総会が29日ピークを迎え、全体の26%に当たる約600社が開催した。コロナ下3年目の今年は、感染拡大の落ち着きを受けて出席株主数が増加。三井住友フィナンシャルグループ(FG)や三菱電機など不祥事が発覚した企業の総会では、株主から厳しい視線が注がれた。
 東京都内で開かれた三井住友FGの株主総会には、前年比2倍超の226人が来場。太田純社長は傘下のSMBC日興証券の元幹部による相場操縦事件に関し、「親会社にも経営管理上の責任があり、重く受け止める」と陳謝した。
 これに対し、来場した東京都の60代男性株主は「100%子会社の不祥事なのに人ごとのような言いぶりで、謝罪になっていない」と不満げだった。
 同社の総会ではこのほか、環境団体が気候変動対策の強化を定款に明記するよう株主提案。否決はされたが、27%の賛同が得られ、団体関係者は「投資家の関心の高さが確認できた」と手応えを示した。
 一方、昨年6月から検査不正が相次ぎ判明している三菱電機の総会は所要時間が3時間を超えた。出席した株主からは「残念なニュースが流れるたびに心を痛めている」「反省しているとは到底思えない」など、批判がやまなかった。
 千葉市では、東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドが総会を開催。独立社外取締役を2人増やす選任案が承認された。中長期的な企業価値向上に向け、経営への監督機能を強化する考えだ。
 京都銀行が京都市で開いた総会では、株主である英投資ファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズが特別配当の実施を提案。「物言う株主」が地方銀行に資産の有効活用を迫る事例として注目されたが、否決された。
 今年の総会も株主との対話を重視し、企業はオンラインを積極活用。三井住友FGや三菱電機、オリエンタルランドは総会の模様を株主向けに同時配信した。 (C)時事通信社