日銀が1日発表した全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断が2四半期連続で悪化した。原材料価格の高騰に加え、世界的な半導体不足や中国・上海の都市封鎖を受けた部品不足で生産への影響が拡大。新型コロナウイルス禍から回復途上にある景気の足取りの不透明さが改めて示された形だ。
 ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油などエネルギー価格の上昇で、コスト増加が企業収益を圧迫。円安の恩恵を受けやすい自動車など輸出企業でも景況感が悪化した。
 一方、大企業非製造業では、まん延防止等重点措置が全面解除されたことを背景に、飲食や宿泊などサービス業を中心に景況感が持ち直した。ただ、非製造業の仕入れ価格判断指数が過去最高水準となるなど、企業のコスト負担は重い状況が続く。
 製造業では一部で価格転嫁の動きが見られるが、賃金の伸びが鈍い中、家計が買い控えの動きを強めれば、景気に悪影響を及ぼす恐れもある。 (C)時事通信社