ロシュ・ダイアグノスティックスは6月24日、女性の婦人科受診に関する意識や実態などについて同社が実施した国際調査の結果を発表した。今年(2022年)4月19日に「婦人科の受診に関する意識や実態」として公表した5カ国調査の続報で、今回の報告では、婦人科受診に対する満足度、婦人科疾患・検査方法の認知度、子宮頸がんに関する疾患・検査・予防の認知度についてまとめた(関連記事「婦人科受診、日本では意識が低い」)。5カ国中最下位の満足度だった。

「満足している」は14%と低い

 今回の続報ではまず、婦人科を受診した際の体験の満足度について調査した。

 それによると、「満足している」と回答したのはフランスの40%を筆頭に日本を除く4カ国で30%を超え、「どちらかというと満足している」も含めると52~89%と過半数を超えていた。日本は断とつの最下位の14%で、「どちらかというと満足している」を含めても46%と半数に満たず、日本の婦人科受診に対する満足度は5カ国中最も低い結果となった(図1)。

図1. 婦人科を受診した際の満足度は?(複数回受診された経験がある場合は一番最近の受診について回答)

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 満足度が高い理由として挙げられた上位項目は「女性医師が対応」「医療スタッフが親身に対応」「診察時のプライバシーが守られている」などで、他国では「診察の際に、プライバシーが守られている」ことで満足度が高まる傾向が見られた。日本では、これらの項目について満足した割合がいずれも25%前後と低かった。

「待ち時間が長い」は35%で突出

 一方、婦人科を受診した際の不満ポイントとして挙げられた上位項目は、「待ち時間が長い」「医療スタッフが親身でない」「予約がとりにくい」「男性医師が対応」などだった。このうち、日本では「待ち時間が長い」が35%と他国(20%以下)と比べ突出していた。  

 国内の年代別に見た婦人科受診の際の満足ポイントについて、20歳代では「女性医師が対応」(34%)と心理的な項目における満足度が高いのに対し、30歳代では「予約がとりやすい」(25%)、「待ち時間が短い」(26%)、「診療時間・診療内容等をWebで公開」(19%)、「土日祝日や夜間も診療」(19%)など、通いやすさにおいて満足度が高い傾向にあった。  

 認知度が高い婦人科疾患は、全体では乳がん、次いで子宮頸がん月経前症候群、更年期障害、卵巣がん子宮内膜症子宮筋腫など。これらの認知度はいずれも日本でも高かったが、乳がん(65%)、子宮頸がん(57%)などは5カ国の中では最も低い一方で、月経前症候群(50%)および子宮筋腫(42%)は5カ国の中でも高かった。  

 国内の年代別に見た認知度について、乳がんは10歳代72%、20歳代58%、30歳代68%だった他、子宮頸がんはそれぞれ48%、53%、65%などおおむね年代が上がると認知度も高まる傾向が認められた。また、症状のあり/なしで見た疾患別の認知度は、なしに比べありの方が、子あり世帯/なし世帯で見た疾患別の認知度はなし世帯に比べ子あり世帯の方が、それぞれ高かった。

マンモグラフィ・HPVワクチンの認知度が低い

 婦人科検診の認知度については、乳がんがマンモグラフィ、乳腺エコー検査、乳視触診の順に、子宮がんが内診、経腟エコー検査、HPV検査の順にそれぞれ高かった。乳がんではマンモグラフィの認知度がスウェーデン、フランスで65%であるのに対し、日本では44%と低く、子宮頸がんではHPV検査が英国、スウェーデン、オーストラリアで40%程度だったのに対し日本で18%と最も低かった。

 さらに、子宮頸がんについて、日本では定期検診とHPVワクチンの有効性の認知度が30%程度と5カ国中最低水準で、また子宮頸がんに対する理解度も最も低かった(図2)。

図2. 子宮頸がんについて知っていることは?(複数回答可)

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図1、2ともロシュ・ダイアグノスティックスプレスリリース

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(編集部)