日本産科婦人科学会は本日(7月6日)、女性の人工妊娠中絶の権利を認めた1973年のロー対ウェイド判決を覆す米連邦最高裁判所の判断に対する抗議声明を公式サイトで公表した(関連記事:NEJMが中絶否定の米最高裁判決を非難全米の「中絶薬」検索件数が過去最多に

世界の全ての女性に自由意思に基づく人工妊娠中絶の選択保障を

 米国では人工妊娠中絶を受ける権利およびその実施可能機関が州法で定められているが、人工妊娠中絶を禁止する州法を合憲とする判決が下されたことにより、ケンタッキー、ルイジアナ、アーカンソー、サウスダコタ、ミズーリ、オクラホマ、アラバマの各州では、人工妊娠中絶ができなくなる。今後、他の州でも中絶禁止法が成立するとみられる。経済力のある女性は州や国を越えて移動できるが、移動できない女性は人工妊娠中絶を受ける権利を奪われることになる。妊娠・出産は時に母体の生命を危険に晒すことがあり、出産を望まない女性にとって人工妊娠中絶の禁止は社会生活、健康や生命を失うことをも強制しかねない。

 日本産科婦人科学会は、全ての人が望むタイミングで望む数だけ子を持つことを保障するセクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR):性と生殖に関する健康と権利は、基本的人権の1つ。希望する全ての女性が安全で質の高い人工妊娠中絶を受けられることはSRHRの重要な一部であるとし、「われわれは女性の健康を守るプロフェッショナルとして、世界の全ての女性が自由意思に基づく人工妊娠中絶の選択が保障されることを求め、米国における女性の人権侵害に断固反対する」と表明した。

編集部