日本、中国および台湾の研究者らは、切除不能肝細胞がんに対して抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+抗VEGF抗体ベバシズマブの併用とマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブ単剤の有効性と安全性を検討する、ランダム化比較試験IMbrave150の長期結果を報告。併用の方が全生存(OS)および無増悪生存(PFS)を有意に改善することが示されたと、J Hepatol(2022; 76: 862-873)に発表した。
併用群でOSを5.8カ月、PFSを2.6カ月延長
第Ⅲ相試験IMbrave150では、2018年3月~19年1月30日に登録した501例の肝細胞がん患者を、アテゾリズマブ+ベバシズマブ(AB)併用群(336例)とソラフェニブ(S)単剤群(165例)にランダムに割り付けた。
一次解析では、S単剤群に対するAB併用群の優越性が示されている(N Engl J Med 2020; 382: 1894-1905)。
研究者らは今回、同試験の長期成績を検証。主要評価項目は、intention-to-treat(ITT)集団におけるRECIST ver 1.1基準の評価によるOSおよびPFSとした。
2020年8月31日をデータカットオフ日とし、中央値で15.6カ月(範囲0~28.6カ月)追跡した結果、OS中央値はAB併用群19.2カ月(95%CI 17.0カ月~23.7カ月)、S単剤群13.4カ月(95%CI 11.4カ月~16.9カ月)とAB併用群で5.8カ月有意に延長していた〔ハザード比(HR)0.66、95%CI 0.52~0.85、descriptive P<0.001〕。PFS中央値もAB併用群6.9カ月(95%CI 5.7カ月~8.6カ月)、S単剤群4.3カ月(同4.0カ月~5.6カ月)とAB併用群で2.6カ月有意に長かった(HR 0.65、95%CI 0.53~0.81、descriptive P<0.001)。
評価可能例における治療に関連するグレード3/4の有害事象は、AB併用群329例中143例(43%)、S単剤群156例中72例(46%)で発現した。また、治療に関連するグレード5の有害事象は、それぞれ6例(2%)、1例(1%以下)に生じた。
研究者らは「長期の追跡により、AB併用群は、臨床的にS単剤群より生存ベネフィットを維持することが証明された。また、安全性ベネフィットも一次解析と一致し、懸念は示されなかった」と考察している。
(内田 浩)