食事をする際に塩をかけない人に比べて常に塩をかけて食べる人では早期死亡リスクが28%高まることが分かった。米・Tulane UniversityのHao Ma氏らは、UK Biobank参加者50万例を対象に食事への食塩追加頻度と早期死亡リスクおよび平均余命の関係を検討した結果をEur Heart J 2022年7月10日オンライン版)に報告した。

食塩追加頻度増加で尿中Na濃度上昇

 多くの食品、特に調理済み食品や加工食品などには高用量の塩分が添加されているため、食事における全体的なナトリウム(Na)摂取量を評価することは非常に難しい。また、尿検査によって食塩摂取量を評価する研究の多くは、尿検査を1回しか行わないため、必ずしも普段の食習慣の結果が反映されているとは限らない。また、塩分を多く含む食品には果物や野菜などのカリウム(K)を多く含む食品が添えられていることが多い。Kは心疾患や糖尿病などの代謝性疾患リスクからの保護作用があるのに対し、Naはがん、高血圧、脳卒中などのリスクを増加させることが知られている。そこでMa氏らは、食卓で食事に塩を追加したことによる死亡リスクへの影響を調べることにした。

 研究を主導した同大学のLu Qi氏は「食卓での食事への食塩追加は、塩からい食品と習慣的な食塩摂取という個人の長期的な嗜好と直接関連する食習慣だ。西洋型食生活において食卓での食塩追加は、総塩分摂取量の6〜20%を占め、習慣的なNa摂取と死亡リスクとの関連を評価する独自の方法となる」と説明した。

 対象は2006~10年にUK Biobankに参加した50万1,379人。参加者はベースライン時に食事に食塩を追加する頻度に関する質問に回答。回答しなかった者は解析対象から除外した。

 食事に食塩を追加する頻度については①27万7,931人が「全くしない/ほとんどしない」、②14万618人が「時々する」、③5万8,399人が「大抵する」、④2万4,431人が「常にする」―と回答した。

 交絡因子を調整後、食事への食塩追加頻度が増えるにつれスポット尿中Na濃度が高くなった。食塩追加頻度が①全くしない/ほとんどしない、②時々する、③大抵する、④常にする―では、スポット尿中Na濃度がそれぞれ1.86mmol/L(95%CI 1.86~1.87mmol/L)、1.90mmol/L(同1.89~1.90mmol/L)、1.92mmol/L(同1.91~1.92mmol/L)、1.94mmol/L(同1.94~1.95mmol/L、傾向のP<0.001)と増加した。反対に食事への食塩追加頻度が多くなるにつれスポット尿中K濃度が低下、それぞれ1.68mmol/L(同 1.68~1.68mmol/L)、1.67mmol/L(同1.67~1.67mmol/L)、1.66mmol/L(同1.66~1.67mmol/L)、1.65mmol/L(同1.64~1.65mmol/L、傾向のP<0.001)と低下した。 

 スポット尿中Na濃度と同様に推定24時間Na排出量も食事への食塩追加頻度が多くなるにつれて3.34g(95%CI 3.33~3.35g)、 3.41g(同3.40~3.42g)、3.45g(同3.44~3.46g)、 3.50g(同3.49~3.51g)と増加した。

野菜・果物の増加で効果が減弱

 中央値で9.0年の追跡期間中に、1万8,474例の全早期死亡(75歳未満での死亡)が報告された。性、年齢、人種、喫煙状況、飲酒状況、BMI、身体活動度、タウンゼント剝奪指数、高コレステロール血症、慢性腎臓病、糖尿病、心血管疾患、がんを調整後、食事への食塩追加頻度が増えるにつれて全早期死亡の調整ハザード比(HR)は1(reference)、1.02(95%CI 0.99~1.06)、1.07(同1.02~1.11)、1.28(同1.20~1.35、傾向のP<0.001)と増加した。

 潜在的危険因子で層別化して食事への食塩追加頻度と全早期死亡リスクの関係を見ると、食事への食塩追加頻度増加に伴う全早期死亡リスク上昇という正の関連は、Kを多く含む野菜・果物の摂取量増加に伴い減弱した(相互作用のP=0.02)。

食塩追加頻度増加で平均余命が短縮

 さらに食事への食塩追加頻度と平均余命の関係を見ると、食事に食塩追加を全くしない/ほとんどしない群に対し、常に追加する群では50歳時の平均余命が女性で1.50年(95%CI 0.72~2.30年)、男性で2.28年(同1.66~2.90年)、60歳時の平均余命がそれぞれ1.37年(同0.66~2.09年)と2.04年(同1.48~2.59年)短縮すると予測された。

 以上から、Ma氏らは「食事への食塩追加頻度が多いほど全早期死亡リスクが上昇し、平均余命が短くなることが分かった」と結論した。

 またQi氏は「知る限り、われわれの研究は食事への食塩追加と早期死亡の関係を評価した初めての研究で、食習慣を改善して健康を向上させるための推奨を裏付けるエビデンスを提供した。食卓で食事に追加する食塩を減らすしかなくNa摂取量をわずかに減らすだけで、特に一般集団で達成できれば、健康上かなりのベネフィットにつながる。ただし、推奨する前に今回の知見を検証する必要がある」と指摘した。

(大江 円)