中国・Ningbo Zhenhai District Lianhua HospitalのXiaoping Tang氏らは、同国・寧波市の1万3,000例超に対し2006年~16年の11年間における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の有病率、危険因子、臨床転帰について調査する後ろ向きコホート研究を実施。その結果、NAFLDの有病率は2006年の17.2%から2016年には32.4%とほぼ倍に上昇しており、BMI、性、トリグリセライド(TG)値の3因子がNAFLDの発症に直接関与していたとBMJ Open2022;12:e054891)に発表した。男性では中年、女性では高齢でNAFLDのリスクが最も高かった。追跡期間中の肝硬変や肝がんといった重篤な肝疾患の発症は1例のみだった。

有病率は男性37%、女性22.2%

 解析対象は、2006~16年に同院で年次健康診断を受けた提携企業の社員1万3,032人。健診データを後ろ向きに解析した結果、NAFLDの有病率は2006年の17.2%から毎年継続的に上昇し、2016年には2倍近くの32.4%に達していた。

 NAFLDの有病率の上昇傾向は男女ともに見られ、女性に比べて男性で有病率が高く、2006年→2016年におけるNAFLDの有病率の変化は男性で20.5%→37%、女性で9.8%→22.2%だった。NAFLDの有病率は男女とも年齢と相関しており、有病率が最も高い年齢層は男性が40~60歳だったのに対し、女性は60歳以上だった。

 また、過体重(BMI 25以上)の集団ではNAFLD有病率が顕著に高く、2006年の時点で45.2%(男性47.3%、女性37.1%)に上り、2016年には67.1%(同69%、59.2%)まで上昇していた。

16の危険因子を抽出、発症に直接関与はBMI、性、TG値の3因子

 ロジスティック回帰分析により特定されたNAFLD発症の危険因子は、BMI、アルブミン値、白血球数(WBC)、TG値、HDLコレステロール値、グルタミントランスペプチダーゼ値、アラニントランスアミナーゼ値、クレアチニン値、尿酸値、血糖値、収縮期血圧、拡張期血圧、赤血球沈降速度、ヘモグロビン値、血小板数、アポリポ蛋白B2の16因子だった(全てP<0.05)。

 これらの危険因子のNAFLD発症に対する受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)は0.88だった。しかし、NAFLD発症と直接の因果関係が認められたのはBMI、性、TG値の3因子のみだった。

11年で重症肝疾患への進行は1例のみ

 追跡期間中に、肝硬変を発症した男性NAFLD患者1例を除き、NAFLDから肝細胞がんなどの重症肝疾患への進行例はなかった。

 一方、肝疾患以外の疾患発症リスクは高く、2型糖尿病、高血圧、高尿酸血症を発症した割合は、男性NAFLD患者でそれぞれ12.6%、37.7%、14.2%、女性NAFLD患者で11.6%、44.7%、22.6%だった。

 Tang氏らは「研究対象の大部分は高学歴で健康的な食事や定期的な運動が可能な富裕層の男女だったため、今回の結果は中国の一般人口には当てはまらない可能性がある」と指摘。その上で「11年間でNAFLDの有病率は大幅に上昇し、中年男性、高齢女性、高BMIの男女でNAFLDのリスクが高かった。NAFLD患者では2型糖尿病、高血圧、高尿酸血症の発症率が高かったが、重症肝疾患への進行例はなく、11年の罹病期間ではまだ肝硬変や肝がんを発症しないことが示唆された」と結論している。

(太田敦子)