新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者数が全国で過去最多となっている。こうした事態を受け、日本呼吸器学会は7月19日、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行期における呼吸機能検査の実施についてVer.2」を公式サイトで公開した。

患者の不利益に配慮、実施の際は感染対策を十分に行う

 日本呼吸器学会は、呼吸機能検査時の激しい強制呼気や咳などは、周囲への汚染飛沫・エアロゾルの拡散を引き起こし、感染拡大につながる懸念があるとして、これまで検査の慎重な実施を提言してきた。Ver.2では過度な検査の差し控えによる診断の遅れなどにより患者の不利益が生じないよう配慮しつつ、実施の際には感染予防の対応を行うようあらためて提言した。

 具体的には日常的な対策として、手が触れる環境表面の清拭と消毒を挙げた。検査機器については、①マウスピース・呼吸回路・フローセンサーは高水準洗浄・消毒を基本とする、②本体は0.1%次亜鉛素酸ナトリウムなどによる清拭を行う―とした。

基準に合致したディスポーザブルフィルターを使用

 検査時における感染予防対策としては、①マウスピースの被験者ごとの交換・消毒、あるいはディスポーザブル品の使用、②基準に合致したディスポーザブルフィルターの使用、被験者ごとの単回使用、③ノーズクリップの適切な使用、④被験者が触れる部分の毎回の消毒、⑤検査室の換気を十分に行いつつ、検査時間を可能な限り短時間にとどめる、⑥検者は不織布マスクやフェースシールドなどの基本的な感染防御を行う―の6点を提示した。

 なお、国内で医療機器承認を得ているディスポーザブルタイプの肺機能検査用フィルターは、99%以上の細菌濾過率・ウイルス濾過率が証明されているため、適切な製品を用いることで呼吸器機能検査を安全に実施することができる。ただし、多種の細菌・ウイルスを実際に評価したものではないことから、実際にインフルエンザやSARS-CoV-2に対しての捕集性能が保証されているわけではない点に留意する必要があると注意を促している。

(植松玲奈)