政府が2023年度予算の概算要求基準で、高齢化などに伴う社会保障費の自然増を5000億円台半ばと見込んでいることが23日、分かった。新型コロナウイルス禍に伴う受診控えなどを踏まえ、22年度の6600億円から減少。防衛費増額が焦点となる中、年末に向けた予算編成で一段の抑制を目指す。
 政府は29日にも概算要求基準を閣議了解する見通し。財務省は8月末に各省庁からの要求を締め切り、予算編成作業を進める。
 22年度予算では、社会保障費の自然増加額は、診察を受けなくても一定期間繰り返し利用できる「リフィル処方箋」の導入などにより、最終的に4400億円に圧縮。それでも社会保障費は一般会計の歳出の3割超を占め、初めて36兆円を突破した。
 一方、今回の概算要求基準では「新しい資本主義」関連政策に特別枠を設け、「人」「科学技術」「スタートアップ」「グリーン(脱炭素)・デジタル」の4分野に重点投資。政策判断で増減させやすい裁量的経費について22年度当初(14.9兆円)から原則1割削減を求め、その額の3倍までを特別枠として要求できるようにする。特別枠は少なくとも4.5兆円程度になる見通しだ。
 また、防衛費のほか少子化対策、脱炭素分野の予算は、予算編成過程で検討することとし、金額を示さない「事項要求」も認める。 (C)時事通信社