【パリ時事】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は23日、記者会見し、欧米で感染が広がっている天然痘に似た症状の感染症「サル痘」について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たると宣言した。テドロス氏によれば、今年に入って75カ国・地域で1万6000件以上の感染が確認されている。
 WHOは21日、専門家による2回目の緊急委員会を開催。宣言発令の是非について議論したが、全会一致の結論には至らなかった。
 テドロス氏は会見で「感染リスクの高い欧州を除き、世界全体でサル痘の感染拡大は穏やかだ」と説明した。一方で、これまで感染が確認されていなかった地域にも広がっていることなどから、宣言発令を決定したとみられる。
 WHOによると、サル痘は従来アフリカの風土病で、リスやネズミなどのげっ歯類がウイルスを保有し、かまれると人に感染するとされる。体液や飛沫(ひまつ)のほか、寝具への接触により人から人へ感染する可能性がある。現時点で日本での感染報告はない。
 感染すると発熱や頭痛などの後、発疹が顔から手足に広がる。ほとんどの場合、数週間で治癒するが、新生児や子供の場合はまれに合併症を引き起こし、死に至るケースもある。
 WHOは2020年1月末、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態を宣言した。宣言に法的拘束力はないが、ワクチンや治療法の共有など、国際的な協調を促す目的がある。 (C)時事通信社