米・Brigham and Women's Hospital/Harvard Medical SchoolのMeryl S. LeBoff氏らは、50歳以上の約2万6,000例を対象にビタミンD3のサプリメントが骨折のリスクを低減させるかどうかを検証するため、プラセボ対照ランダム比較試験(RCT)Vitamin D and Omega-3 Trial(VITAL)の付随研究を実施。約5年追跡した結果、ビタミンD3サプリメントに全骨折、非椎体骨折、大腿骨近位部骨折のリスク低減効果は認められなかったとN Engl J Med(2022; 387: 299-309)に報告した。

ビタミンD欠乏症、低骨密度、骨折既往の有無にかかわらず登録

 ビタミンDサプリメントは骨の健康のために広く推奨されているが、骨折予防効果に関する研究では一貫した結果を示していない。米国では、カルシウムを同時摂取せずにビタミンDを毎日単独で摂取した場合の骨折予防効果を検証した大規模RCTはない。

 そこでLeBoff氏らは、ビタミンD3とn-3系多価不飽和脂肪酸、または両方の摂取によるがんおよび心血管疾患の予防効果を検討するRCTであるVITALの付随研究として、ビタミンD3サプリメントが骨折の発生リスクを下げるかどうかを検討した。

 VITAL試験の対象は、ビタミンD欠乏症、低骨密度、骨折既往の有無にかかわらず全米で登録した一般集団2万5,871例〔平均年齢67.1±標準偏差(SD)7.1歳、女性50.6%(1万3,085例)、黒人20.2%(5,106例)〕。1万2,927例をビタミンD群(1日2,000IU)、1万2,944例をプラセボ群にランダムに割り付けた。

 参加者は研究で摂取する以外のビタミンDサプリメントの摂取を1日800IU以内に、カルシウムサプリメントの摂取を1日1,200mg以内に制限された。また、年1回詳細なアンケートを実施。試験レジメンの遵守、副作用、試験以外のサプリメントおよび医薬品の使用、大病の発症、骨粗鬆症または関連する危険因子、身体活動、転倒、骨折を評価した。

 主要評価項目は、全骨折、非椎体骨折、股関節骨折の発生とした。intention-to-treat(ITT)解析を行い、治療効果の推定には比例ハザードモデルを使用した。

骨粗鬆症や骨軟化症の患者、高齢者などには一般化できない可能性も

 解析の結果、ベースライン時に骨粗鬆症治療薬を服用していたのは4.8%(2万5,690例中1,240例)、脆弱性骨折歴があったのは10.3%(2万5,023例中2,578例)だった。また、42.6%(2万5,871例中1万1,030例)が1日800IUまでのビタミンDサプリメントを、20.0%(2万5,871例中5166例)が1日1,200mgまでのカルシウムサプリメントを服用していた。

 中央値5.3年の追跡期間中に、1,551例・1,991件の骨折が発生した。1,551例の内訳は、ビタミンD群が769例、プラセボ群が782例と、両群で全骨折リスクに有意差は認められなかった〔ハザード比(HR)0.98、95%CI 0.89~1.08、P=0.70〕。

 非椎体骨折はビタミンD群で721例、プラセボ群で744例(HR 0.97、95%CI 0.87~1.07、P=0.50)、大腿骨近位部骨折はそれぞれ57例、56例(同1.01、0.70~1.47、P=0.96)と、いずれも有意差はなかった。

 年齢、性、人種/民族、BMI、血清25-ヒドロキシビタミンD値などのベースライン特性による効果の修飾は認められなかった。親試験VITALで観察された有害事象についても、両群に差はなかった。

 以上から、ビタミンD欠乏症、低骨密度、骨粗鬆症を有さない概して健康な中高年に対するビタミンD3サプリメントの摂取は、骨折リスクを有意に低減させなかった。

 LeBoff氏らは、研究の限界として、①ビタミンDが欠乏している人に対するビタミンD摂取の効果を検証するようなデザインではない、②血中ビタミンD濃度が12ng/mL未満の参加者はわずか2.4%であった-ことなどを挙げている。さらに、今回の結果について「骨粗鬆症または骨軟化症の患者、もしくは施設に入所している高齢者などには一般化できない可能性がある」と述べている。

(今手麻衣)