2023年度予算の概算要求基準をめぐり、政府が高齢化などに伴う社会保障費の自然増加額を5600億円と見込んでいることが28日、分かった。新型コロナウイルス禍に伴う受診控えなどにより、22年度に見込んだ6600億円から減少。防衛費増額が焦点となる中、年末に向けた予算編成で一段の抑制を目指す。
 政府は29日午後、概算要求基準を閣議了解する方針だ。政策判断で増減させやすい裁量的経費については原則1割の削減を要請。削減分の3倍まで別途要求できる4.5兆円規模の特別枠を設け、岸田政権の看板政策「新しい資本主義」などの重要政策に充てる。エネルギー・食料を含めた経済安全保障分野の予算にも対応させる。また、防衛費、子育て支援、脱炭素などは「予算編成過程で検討」とし、金額を示さない「事項要求」も認める。
 22年度の社会保障費は概算要求基準で6600億円の自然増を見込んだが、当初予算では診察を受けなくても一定期間繰り返し利用できる「リフィル処方箋」の導入などにより、前年度比約4400億円の増加に圧縮した。それでも一般会計の歳出の3割超を占め、初めて36兆円を突破した。 (C)時事通信社