新型コロナウイルス対策で企業が従業員に支払った休業手当を助成する雇用調整助成金(雇調金)などをめぐり、2年間で総額約3億1700万円の不正受給や重複支給が見つかったことが4日、会計検査院の調査で分かった。検査院は制度を管轄する厚生労働省に対し、確認方法を改善するよう求めた。
雇調金は、雇用維持のために従業員を休業させ、休業手当を支払った企業に支給され、新型コロナの特例措置では全額が助成される。一方、企業から休業手当を受けられなかった従業員に対し国が支給する「休業支援金」もある。
検査院によると、2020~21年度に支給が決まった雇調金や休業支援金などの総額は約5兆7900億円。厚労省は2週間以内の支給を目指して事前審査を迅速化させているが、雇調金と休業支援金を重複して支払ったり、同じ従業員に休業支援金を二重支給したりする事例があったという。
また、厚労省は雇調金を支給した企業を訪問する実地調査の対象を、不正受給との情報提供や疑いがある場合に限定していた。しかし、検査院が対象外の企業を調査した結果、取引先の関係者の名前を利用し、従業員が休業したように装うなどの不正受給が判明した。
厚労省は「改善要求を真摯(しんし)に受け止め、改善を図っていきたい」としている。 (C)時事通信社
雇調金の不正受給など3億円=重複支給も―検査院
(2022/08/04 17:05)