米・Boston University School of Public HealthのAmelia Wesselink氏らは、自然流産の季節性の変化について検討するため、米国およびカナダの妊娠を計画している女性を追跡したコホート研究Pregnancy Study Onlineの参加者6,104例のデータを解析。妊娠8週までの流産リスクが最も高いのは8月下旬で、2月下旬と比べて44%のリスク上昇が認められたとする結果をEpidemiology(2022; 33: 441-448)に発表した。
妊婦の最大30%が自然流産を経験
妊娠した女性の最大30%が自然流産を経験すると推定されているが、その多くは原因不明であり、危険因子に関しても十分に解明されていない。そこで、Wesselink氏らは今回、危険因子の同定につなげるため、Pregnancy Study Onlineのデータを用いて自然流産のリスクに季節性の変化があるのか否かについて検討した。
対象は、米国およびカナダにおいて、2013~20年に同研究に登録された女性1万2,197例。うち6,104例が登録から12カ月以内に妊娠を報告していた。自然流産の発生日とその時の妊娠週数については質問票への回答に基づき把握し、周期回帰分析法を用いて季節性の変動の大きさ(最大/最小比)とピークに達するタイミングを推定した。
米国の南部および中西部で強い関連
検討の結果、自然流産のリスクが最も高いのは8月下旬で、2月下旬と比べて31%のリスク上昇が認められた(最大/最小比1.3、95%CI 1.1~1.6)。特に妊娠8週までの自然流産については2月下旬と比べて8月下旬には44%のリスク上昇が認められた(同1.4、1.2~1.8)。また、このような関連は、米国の南部および中西部に住んでいる女性で特に強いことも示された。
Wesselink氏は「流産リスク、特に妊娠8週までの早期流産リスクが最も高いのは夏であることが分かった」とした上で、「晩夏に高頻度に見られる環境的要因または生活習慣要因が、早期の自然流産のリスク上昇に関連している可能性がある」と考察。また、夏季の流産リスクの上昇には暑さへの曝露が影響している可能性があるとの見方を示し、この点については今後さらなる研究で検討する必要があると主張している。
(岬りり子)