ベルギー・University of LiègeのYves Henrotin氏らは、変形性膝関節症(膝OA)患者198例を対象に、抗炎症作用があるラズベリーの葉の抽出物(Rubus idaeus extract;RIE)が疼痛を改善するかどうかを検証する第Ⅱ相二重盲検プラセボ対照ランダム比較試験(RCT)を実施。RIE 400mgを12週間投与した結果、疼痛が有意に低減したとBMC Musculoskelet Disord2022; 23: 650)に報告した。

ラズベリーの葉に含まれるフラボノイドやフェノールが炎症反応を抑制

 変形性関節症(OA)の症状をコントロールする目的で処方されるのは非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が多いが、重篤な副作用を伴う。そのため、OAのコントロールにはより安全な代替薬が求められており、その1つの候補が炎症反応を抑制するRIEである。RIEはフラボノイドやフェノールを豊富に含み、分裂促進因子活性化蛋白質キナーゼ(MAPK)やNF-κBのシグナル伝達経路の活性化を防いで炎症反応を抑制することが知られている。

 そこでHenrotin氏らは、膝OAに対するRIEの有効性と安全性を検討するRCTを実施した。

 対象は、膝OA患者208例。組み入れ基準は、年齢30~75歳、BMI 18.5~35、スクリーニングの少なくとも12カ月前に行われた膝の原発性OAの診断、18カ月以内に撮影したX線による大腿脛骨関節における少なくとも1個の骨棘と関節腔の狭小化を伴うOA、NSAIDで十分にコントロールできない軽度から中程度の疼痛―とした。

 208例をプラセボ群、RIE 200mg群、RIE 400mg群に1:1:1でランダムに割り付け、1日1回30日間投与した。

 主要評価項目は、Western Ontario McMaster osteoarthritis index(WOMAC)疼痛サブスケール(0〜20点)のベースラインからの絶対変化量とした。副次評価項目は、WOMACグローバルスコア、stiffness and functionサブスケール、歩行時のVisual analogue scale(VAS)疼痛スコア、Short Form-36、Short Physical Performance Battery(SPPB)、20m歩行テスト、国際身体活動質問票(IPAQ)、OMERACT-OARSIの治療反応評価とした。

 ベースライン時、治療1カ月後、3カ月後に各項目を評価。intention-to-treat(ITT)解析の対象となったのは198例(プラセボ群68例、RIE 200mg群66例、RIE 400mg群64例)だった。

VASスコアはRIE 200mg、400mg群とも臨床的に有意な改善

 解析の結果、3カ月後のWOMAC疼痛サブスケールは、RIE 200mg群で-2.01±標準誤差0.31点、RIE 400mg群で-2.46±0.32点、プラセボ群で-1.98±0.31点と全群で有意に減少した(全てP<0.0001)ものの、3群間に有意差は認められなかった。

 一方、3カ月後のVAS疼痛スコアは、RIE 200mg群で-8.51±1.92mm、RIE 400mg群で-10.93±1.95mm、プラセボ群で-3.84±1.89mmと、RIE群ではいずれも臨床的に有効とされる-7mm以上を達成。また、RIE 400mg群ではプラセボ群と比べ有意に低下した(差-7.09±2.71mm、95%CI -13.11〜-1.07mm、P=0.0176)。

 VAS疼痛スコア以外の副次評価項目については、RIE群とプラセボに有意差は認められなかった。

 RIEに関連する重篤な有害事象は確認されず、安全性に問題はなかった。

 以上から、RIEには膝OA患者の疼痛を軽減するのに十分な忍容性と有効性が確認された。

 Henrotin氏らは「膝OA患者の疼痛に対し、RIEは安全性に優れており、VAS疼痛スコアの有意な低下が見られたことから、NSAIDやパラセタモールの良い代替薬になる可能性がある」と結論。その上で、研究の限界として、主要評価項目ではRIEの有効性が確認されなかったこと、サンプルサイズが小さいことを挙げている。

(今手麻衣)