米・Stanford UniversityのSara Naseri氏らは、独自の生理用ナプキン「Q-Pad」で採取した月経血を用いて高リスクのヒトパピローマウイルス(HPV)を検出する新たな手法を開発。高リスクのHPV陽性例およびHPV陽性と判定された女性を対象に、この手法の妥当性を前向き観察研究で検討した結果、従来の医師による細胞診と極めて高い一致率が得られたと、Obstet Gynecol(2022年8月3日オンライン版)に報告した。
月経血と血清検査値は相関関係示す
高リスクのHPV陽性例は医療機関での受検を要するが、近年、医師が採取した検体と同等の感度を有する綿棒型、ブラシ型、子宮頸部洗浄型、タンポン型の自己採取による検査キットが開発されている。しかし検体を採取する際の腟への的確な挿入に解説を要する、検体の保存液に毒性がある、輸送に手間がかかるなどの課題が残る。
Q-Padは、従来のオーガニックコットン製の生理用ナプキンに取り外し可能な乾燥血液スポットを装着したもので、パッドから採取した採血ストリップを取り外し、パッド本体は従来の生理用ナプキンと同様に廃棄する。 月経カップやQ-Padのような改良型生理用ナプキンで自己採取した月経血と静脈血を用いて測定したHbA1cや甲状腺刺激ホルモンなどの血清検査値には、相関関係が示されている(BMJ Sex Reprod Health 2022; 48: 123-127)。
CIN2の高リスクHPV陽性例では医師による細胞診との一致率が100%
対象は、2019年12月~21年2月に登録された子宮頸がん検診受検例または高リスクHPV陽性の既往例153例のうち、適合基準を満たした106例〔高リスクHPV既往例70例、平均年齢31.0歳(範囲21~49歳)、白人48.1%、アジア系35.8%〕。参加者には、①医師による細胞診、②検査キットを用いた腟スワブの自己採取、③月経2日目にQ-Padによる月経血の自己採取―を求めた。
検討の結果、①と③の実施期間が2カ月未満の検体における結果の一致率は93.5%(95%CI 82.5~97.8%)だった。具体的には、医師による細胞診で陽性と判定された46例中43例がQ-Padでも陽性とされた。
子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)2の高リスクHPV陽性例については、①と③の一致率が100%だった(95%CI 32.5~100%)。
対象92%が医師による細胞診よりも自己採取の方が好ましいと回答し、うち94%が腟スワブの自己採取よりQ-Padの方が好ましいと回答した。22.9%が検査キットを用いた自己採取に不快感を示したため採取を断念したが、Q-Padに不快感を示した者はいなかった。
以上の結果を踏まえ、Naseri氏らは「高リスクHPV陽性の判定において、Q-Padは細胞診と高い一致率を示した。Q-Padを用いた自己採取法の子宮頸がん予防プログラムへの導入は有用と考えられる」と結論。その上で、Q-Padは卵巣がん、子宮内膜がん、その他のがん、性感染症などの検診にも応用できる可能性があると付言している。
(田上玲子)
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