新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は10日、全国の感染状況について「最も高いレベルが継続している」との見解をまとめた。救急搬送困難事案の増加や医療従事者の欠勤などが見られるとした上で、医療提供体制に「大きな負荷が生じており、深刻化が懸念される」と指摘。夏休みやお盆期間に伴う人の接触機会の増加も懸念されることから、最大限の警戒を持って注視する必要があると強調した。
座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は会合後の記者会見で「一部地域で感染者は減少傾向だが、楽観できない。今後の感染状況が懸念される」と説明。高齢者施設の集団感染や濃厚接触者の急増に伴い、社会活動全体に影響が生じているとした上で、「死亡者は第6波のピークに近いレベルまで急上昇しており、今後増加が懸念される」と述べた。
また、予防接種法に基づくワクチン接種を保護者に課す「努力義務」をめぐり、厚労省の専門部会が対象外だった5~11歳の小児にも適用することを了承したことについて、脇田氏は「有効性や安全性を確認して接種を検討してもらうことが重要だ」と訴えた。
専門家組織によると、9日までの1週間に確認された全国の新規感染者数は前週比1.05倍で、増加幅はその前の週(1.16倍)より縮小した。青森、福井両県ではそれぞれ前週比0.95倍と0.94倍。一方、沖縄県では、同日までの1週間に確認された人口10万人当たりの新規感染者数が全国最多の2262人だった。 (C)時事通信社
コロナ感染、最高レベル継続=医療提供体制「深刻化を懸念」―厚労省助言組織
(2022/08/10 23:14)