2022年4~6月期の実質GDP(国内総生産)速報値は、実額が年率換算で542兆円となり、新型コロナウイルス感染拡大前の19年10~12月期(540兆円)を上回った。政府が21年度中を目指していたコロナ前の水準にようやく到達した格好だ。ただ、感染「第7波」や物価高、世界経済の減速など懸念材料は山積。景気の先行きは楽観できない。
4~6月期の日本経済は、緩やかながら3四半期連続のプラス成長となった。「第6波」の出口が見えたとして3月に「まん延防止等重点措置」が全面解除され、内需の柱である個人消費が回復したことが主因。コロナ禍で抑制されていた旅行や飲食などのサービス消費が増加した。
民間エコノミストの予測では、7~9月期の実質GDPも、個人消費の回復を支えに4~6月期並みのプラスとなる見込み。しかし、消費が変調を来せば下振れは避けられない。物価高で実質賃金が目減りする中、食料品など生活必需品の値上げは夏以降も続いている。
岸田文雄首相は15日、物価高への追加対策を指示したが、消費者心理の改善につながるかは不透明だ。
輸出にも景気のけん引役は期待できそうにない。ウクライナ危機の長期化や米欧の利上げで世界経済の減速懸念が一段と強まっているためだ。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは「欧州は冬ごろ、米国も23年には景気後退に陥り、自動車輸出など製造業が伸び悩む」と予想する。 (C)時事通信社
コロナ前到達も楽観できず=GDP

(2022/08/15 10:57)