毎日の摂食時間を決められた時間帯に制限する時間制限食(time-restricted eating;TRE)は体重や体脂肪の減量に有効とされているが、いまだ明確なエビデンスは得られていない。米・University of Alabama at BirmingHam(UAB)のHumaria Jamshed氏らは、摂食時間を朝から昼にかけての早期8時間以内とし、残る16時間は水以外の摂取を制限する時間制限食(eTRE)が体重、体脂肪、心血管代謝に及ぼす影響を検討するランダム化比較試験を実施。eTREは体重減少に加えて血圧の低下、気分改善効果が得られたとの結果をJAMA Intern Med(2022年8月8日オンライン版)に報告した。

全例がカロリー制限+運動を実施する上でeTREの有効性を比較

 対象は、UAB病院のWeight Loss Medicine Clinicを受診した25〜75歳でBMI 30.0〜60.0、糖尿病などの慢性疾患がない肥満患者90例。主な背景は平均BMI 39.6±6.7(標準偏差)、平均年齢43±11歳、女性80%、白人62%、黒人33%、アジア人2%で、非ヒスパニック系が94%を占めた。摂食可能な時間帯を7〜15時の8時間に限定したeTRE群45例と米国の摂食時間の中央値である12時間以上の時間帯から自己選択する対照群45例にランダムに割り付け、週6日以上食事時間帯を守るよう指導した。さらに全例が栄養士からマンツーマンで減量カウンセリングを受け、ベースライン時の身体活動に応じた低カロリー食と週に75〜150分の運動によるエネルギー制限(ER)が行われた。

 主要評価項目は14週後の体重および体脂肪の減少、副次評価項目は空腹時の心代謝危険因子〔空腹時血圧、血糖値、インスリン値、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)、インスリン分泌能(HOMA-β)、HbA1c〕の他、アドヒアランスや摂食時間帯に関する満足度、気分障害などとした。

eTREにより、2.3kgの減量上乗せ効果

 平均食事摂取時間は対照群は12.3±0.8時間であるのに対し、eTRE群では7.6±0.8時間と約4.8時間短かった(P<0.001)。

 14週間後の体重は、eTRE群が−6.3kg(95%CI −7.4〜−5.2kg、P<0.001)、対照群が−4.0kg(同−5.1〜−2.9kg、P<0.001)で、両群とも臨床的に意味のある有意な体重減少を達成したが、eTRE群の方が減量幅が2.3kg大きかった(同−3.7〜−0.9kg、P=0.002)。この差はエネルギー摂取量の214kcal/日減少に相当した。

 体脂肪量、除脂肪量、体重減少に対する体脂肪減少の比率、除脂肪体重、体幹脂肪量、内臓脂肪量、胴囲または体肢除脂肪量については、両群でいずれも減少し、有意差は見られなかった。

 拡張期血圧は両群とも低下したが、対照群よりeTRE群では対照群より減少幅が大きかった(群間差−4mmHg、95%CI −9〜1mmHg、P=0.09)。

 収縮期血圧、心拍数、血糖値、インスリン値、HOMA-IR、HOMA-β、HbA1c、血清脂質も両群で低下したが、低下幅に有意差はなかった。

 身体活動、気分状態、睡眠、摂食時間帯に対する満足度を各評価スコアを用いて検討したところ、eTRE群では全体的な気分障害に加え、活気・活力、疲労-無気力、抑うつ-落ち込み気分状態についても対照群よりも大きな改善が認められた。Jamshed氏は、気分障害の改善はeTREスケジュールの遵守・継続に貢献した可能性があると考察している。

 試験完遂者59例の二次分析では、体重減少、体幹脂肪および体脂肪の減少、拡張期血圧の低下が対照群に比べeTRE群で顕著だった。

摂食時間帯のタイミングや期間による効果の検討が必要

 今回の結果を踏まえ、Jamshed氏らは「eTREが体重減少および拡張期血圧低下に効果的であったことから、肥満高血圧の両方に対し有効な治療法となる可能性が示唆された。今後は、より規模が大きい臨床試験で検討を重ね、eTREの体組成や心血管代謝への効果が、1日の摂食時間帯のタイミングと期間の影響を受けるかを調査し、個人に最適化されたeTREを特定する必要がある」と述べている。

宇佐美陽子